クァルテット・ウィークエンド 2024 – 2025 ヘンシェル・クァルテット

王道の独墺プログラムで魅せる30年の歩み

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 ヘンシェル・クァルテットは今年でキャリア開始から30年を迎える。1994年にヘンシェル兄弟に、チェロのマティアス・バイヤー=カルツホイが加わり、本格的な活動をスタート。いくつもの国際コンクールに入賞し、96年には第2回大阪国際室内楽コンクールで第1位を獲得した。その後、元ベルリン・フィルのダニエル・ベルが第2ヴァイオリンとして参加。ドイツを代表する弦楽四重奏団として活躍している。

 今回の来日公演では、彼らが最も得意とするドイツ=オーストリア音楽の古典派からロマン派にかけての作品が演奏される。とりわけメンデルスゾーンは弦楽四重奏曲全集の録音を残すなど、彼らの十八番のレパートリーといえる。第3番はメンデルスゾーンの充実期の作品。生き生きとした演奏が聴けるだろう。シューベルトの第13番「ロザムンデ」は、第2楽章に劇付随音楽「ロザムンデ」からの優美な旋律が引用されていることで知られているが、作曲者晩年の翳りも聴きどころである。

 ヘンシェル・クァルテットのベートーヴェンでは、2012年の「サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン」での弦楽四重奏曲全曲演奏会が記憶に残る。第1ヴァイオリンのクリストフ・ヘンシェルの鬼気迫る演奏や自由度の高い柔軟なアンサンブルが思い出される。あれから12年、今回どんな「ラズモフスキー第3番」を聴かせてくれるのか。30年を経たヘンシェル・クァルテットの熟達が満喫できる演奏会となるに違いない。
文:山田治生
(ぶらあぼ2024年9月号より)

2024.9/23(月・休)14:00 第一生命ホール
問:トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702 
https://www.triton-arts.net

他公演
2024.9/22(日・祝) 愛知/宗次ホール(052-265-1718)
9/25(水) 鶴見区民文化センター サルビアホール(完売)
9/27(金) 大阪/ザ・フェニックスホール(06-6363-7999)
9/29(日) びわ湖ホール(小)(077-523-7136)