オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)が3月25日、石川県立音楽堂内で記者会見を行い、2024-25シーズンの定期公演プログラムを発表。会見にはOEKアーティスティック・リーダーの広上淳一らが出席した。
OEKの新シーズンは、石川県立音楽堂のパイプオルガンが25年11月から改修(オーバーホール)されることに伴い、通常よりも2ヵ月長く、24年9月から25年10月までとなる。定期公演は、フィルハーモニー・シリーズ9公演、マイスター・シリーズ6公演、ファンタスティック・オーケストラコンサート4公演の全19公演が予定されている。
そのうち、広上は4公演に登場。フィルハーモニー・シリーズでは、鬼才、ファジル・サイとの共演で披露するピアノ協奏曲第3番を含むオール・ベートーヴェン・プログラム(24.9/17)に加え、翌年には交響曲第6番「田園」を振る(25.9/20)。マイスター・シリーズでは「これからのOEKを支える主軸」と語る楽団員(水谷晃:客員コンサートマスター、植木昭雄:チェロ首席、橋爪惠梨香:オーボエ、金田直道:ファゴット)をソリストに据え、ハイドンの協奏交響曲などを指揮(25.3/20)。ファンタスティック・オーケストラコンサートでは大河ドラマの音楽を取りあげる(25.7/19)。
広上に師事し、OEKにポストを持つ二人、パーマネント・コンダクターの川瀬賢太郎、コンダクターの松井慶太も名を連ねた。
川瀬は、セルゲイ・ナカリャコフとアルチュニアンのトランペット協奏曲で共演するほか(24.9/22)、25年10月にはマーラーの交響曲第4番を披露する(25.10/4)。角野隼斗との共演で臨む、オーストリアの偉大なピアニスト、フリードリヒ・グルダが遺した「コンチェルト・フォー・マイセルフ」も注目だ(25.5/15)。
松井は25年1月に登場。J.シュトラウスII世の喜歌劇《こうもり》からの名曲、ビゼーのカルメン組曲などを組みあわせたニューイヤーコンサートでタクトをとる(25.1/11)。
客演では、2024年末で指揮活動からの引退を表明している桂冠指揮者・井上道義は見逃せない。ショスタコーヴィチの交響曲第14番などを指揮し、OEKとの最後の共演を果たす(24.11/9)。
その他、広上がポスト就任時から進めている若手アーティストの起用も充実。
かつて同楽団で指揮研究員として研鑽を積み、現在は京都市交響楽団の常任指揮者を務める沖澤のどかが2度目の登場(25.3/8)。広上は「山田和樹さんと並んでヨーロッパで活躍する日本人指揮者の筆頭。京響とも良いスタートを切ったと聞いている」と期待を込めた。
ソリストにはOEK初登場のアーティストも多く起用される。ヴァイオリンの佐藤俊介(24.10/17)、金川真弓(24.12/5)、ピアノの亀井聖矢(25.1/26)、牛田智大(25.3/8)、務川慧悟(25.10/24)ら豪華な顔ぶれが揃う。
「これからの日本の音楽界を牽引してくれるであろう優秀な若手が出演します。ぜひ全員聴いてもらいたい」
会見では、能登半島地震における復興支援活動にも言及。OEKは現在「がんばろうNOTO」をスローガンに掲げ、「公演開催地での募金活動」「OEKチャリティーコンサートの開催」「被災地応援メッセージボードの設置」「被災地などにおけるボランティアコンサートの実施」などを行っている。
広上は「時間がかかると思いますが復興を願っています。通常のコンサート以外にも、被災された方々に寄り添う演奏会を企画しています。少人数で彼らのもとに駆け付け、少しでも幸せを感じてほしい。北陸の楽団としての使命です」と想いを語った。
写真提供:オーケストラ・アンサンブル金沢
オーケストラ・アンサンブル金沢
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