小林美樹(ヴァイオリン)

2つの「四季」で際立つ名手4人の個性

©山吹康男

 奨学制度や公演助成など、クラシック音楽界をさまざまな形で支援する「ローム ミュージック ファンデーション」。これまでに支援を受けた音楽家たちが結集して音楽ファンの拡大を図る『ローム ミュージック フェスティバル』。室内楽からオーケストラまでさまざまな公演が春の京都を彩る。

 幕開けは、ヴィヴァルディとピアソラの「四季」を並べ、季節ごとに4人のソリストが登場するゴージャスなコンサートだ。〈夏〉を弾くのが小林美樹。3年前には自身のリサイタルでも“八季”と銘打ってこの2つの「四季」を弾き切った。

 「時代も国も違う二人の『四季』。ヴィヴァルディが描いたのはヴェネツィアの四季なので、太陽のキラキラした感じとか、春の生き生きとした感じとか、ラテン系というところにピアソラと共通点があるかもしれません。今回演奏するデシャトニコフ編曲のピアソラには、ヴィヴァルディと同じメロディが出てくるので、それを発見しながら聴いていただくのも楽しいと思います。ピアソラは技術的に難しいので必死になりやすいのですが、自分だけ熱くならないように。メロディを大切に、歌心を忘れずに、聴かせる演奏をしたいなと思っています」

  〈春〉のソロは弓新、〈秋〉は黒川侑、〈冬〉は岡本誠司。

 「4人の個性がまったくちがうので、面白いと思います。弓君はヴィエニャフスキ・コンクールの時に一緒で、ご飯を食べたりしたのですが、もう13年前のこと。大人の素晴らしい演奏家になっていることでしょう。今回はソロの曲以外はアンサンブルの中で弾きます。次が自分のソロだと思うと緊張もするのですが、何度か経験もあるので、楽しく演奏したいです」

 コンサートマスターの白井圭以下、特別編成の弦楽アンサンブルのメンバーも豪華だ。

 「中堅の先輩方。支えてくれる安心感があって心強いです。アンサンブルとの共演だと、オーケストラよりも奏者の距離が近くて会話もしやすいですし、一人ひとりの音が聴こえるので、より密なアンサンブル能力が必要です。そのぶん、自分がどう弾きたいとか、こういうふうに弾いてほしいとか、コミュニケーションも取りやすいので、自分のピアソラ、自分のヴィヴァルディを作れるのではないかと、とても楽しみにしています」

  自身はロームの奨学金を得てウィーンに留学した。

 「シューベルトのお墓に花を供えに通ったり、コンサートやオペラを気軽に聴けたり。歩いているだけで音楽を感じられる環境。先生も表現の引き出しが多く、それまで思いつかなかったようなことも教えていただけて、いろんな発見がありました。短期間でもヨーロッパで勉強するとまったく変わると思います」

 その後もたびたび演奏の機会を与えてくれるのがありがたいという。

 「コンクールで良い成績をおさめても、その後の活動がうまくいくかどうかは、どれだけ演奏機会を得られるかによります。ロームさんは、京都のお寺でのコンサートや、当時は慣れていなかったトーク付きの企画に呼んでくださったり。自分だけではなかなか経験できない勉強の場を与えてくださって、感謝しています。このフェスティバルはチケット代が安くてお得。配信もありますし、ぜひ全部聴いてください!」
取材・文:宮本 明
(ぶらあぼ2024年4月号より)

ローム ミュージック フェスティバル 2024【配信あり】
2024.4/20(土)、4/21(日) ロームシアター京都
《小林美樹出演公演》
リレーコンサート A 4人の名手たちが贈る「四季」の祭典
2024.4/20(土)11:30 ロームシアター京都 サウスホール
問:otonowa 075-252-8255 
https://www.rmf.or.jp/jp/activity/rmfes/
※フェスティバルの詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。