坂本龍一監督への追悼の思いと被災地の復興を願って

3月、東北ユースオーケストラが5つのコンサートに出演

 2023年3月に亡くなった坂本龍一が立ち上げた東北ユースオーケストラが、来る3月、岩手、宮城、福島、東京で追悼演奏会を行う。このオーケストラの始まりは東日本大震災から間もない2011年7月、坂本が発起人となって開始した「こどもの音楽再生基金」にさかのぼる。被災地の幼稚園や小・中・高校で使っていた楽器を修理・点検するというプロジェクトだ。その後2013年9月、宮城県松島町にて開催された東北と世界をつなぐ音楽祭「Lucerne Festival ARK NOVA 松島 2013」をきっかけに期間限定のオーケストラが結成され、同イベントに坂本の指揮で出演。そして2014年3月、「こどもの音楽再生基金」を引き継ぐ形で、坂本を代表・監督に「一般財団法人 東北ユースオーケストラ」が設立された。メンバーは、東日本大震災で被災した三県(岩手県・宮城県・福島県)を中心に、小学生から大学生までが参加しており、毎年3月の定期演奏会のほか、「自分たちが東北のためにできることは何か」「音楽だからこそできることがたくさんあるはず」という思いでさまざまな活動を続けている。

 坂本はこのオーケストラについて、公式サイトに以下のメッセージを寄せている。

 2011年に設立した「こどもの音楽再生基金」をきっかけとして、東北の子供たちと音楽を通じて接する機会を得、3年間の基金の活動が終わった後もお互いに分かれ難く、せっかく知り合って何かを築いてきたのだから、もっと発展させたいねという気持ちをもって「東北ユースオーケストラ」は始まりました。
 東北のために何かしたいという、大人の勝手な善意の押しつけではないかと危惧した面もありますが、団員を募集したところ100名を超える子供たちが手をあげてくれました。
その一人一人の応募動機を読むと、やはり震災が大きく彼らの胸に痛みとして残っており、また同時に音楽をすることでその傷を癒し、乗り越えようとしていることに強く心を動かされざるをえません。
どうか今後末長く「東北ユースオーケストラ」を支えていただけますよう、お願いいたします。

坂本龍一

 3月の公演には、これまでも活動を共にしてきた、栁澤寿男(指揮)、吉永小百合(福島、東京公演)とのん(岩手、宮城公演)が詩の朗読で出演、そしてゲストとして中野翔太(ピアノ)と成田達輝(ヴァイオリン)が参加する。
 また、追悼演奏会に先立つ3月11日には、ミューザ川崎シンフォニーホールで2014年から開催されてきた「第10回 被災地復興支援チャリティ・コンサート」にも出演する。

 これらの公演を目前に控え、9期のキャプテンを務める海津洸太(かいつ こうた)さんに話を聞いた。

海津さんにとって東北ユースオーケストラとは?

 自分にとって東北ユースオーケストラ(TYO)とは成長の場です。様々な地域、様々な学年の人と関わることによって新たな発見があったり、音楽的成長、社会的成長ができます。東北ユースオーケストラでの経験やできた仲間は一生の宝ものです。

── 坂本さんとのエピソードを教えてください。

 4期の本番で大きな失敗をしてしまって、舞台袖でひどく落ち込んだことがありました。そんな僕のところに坂本監督が来てくださって。突然のことで驚いて何を言われたかは覚えていないのですが、慰め励ましてくれました。それがTYOで一番の思い出です。

── ミューザのチャリティコンサートの義援金は、能登半島地震の復興支援にも充てられるようです。

 これまで、私たち東北ユースオーケストラは、3.11よりたくさんのご支援のもと、素晴らしい経験をさせていただきました。本当にありがとうございます。そんな東北ユースオーケストラですが、活動していく中で、いつまでも支援される側でいるのはどうなのだろうか、少しでも支援する側になるべきなのではないかと我々団員は考えるようになりました。東北ユースオーケストラは、“被災地の「心の復興」をはかる”、“「震災の記憶と教訓」を伝える”という理念を持っています。今まさに、それが行われるべき時だと感じております。坂本監督はもういませんが、監督の遺志を引き継いだ私達だからこそできる音楽をぜひお聴きください。皆様の”心の復興”に少しでも寄与できるよう、団員一同全力でミューザに臨みます。

── 追悼演奏会に向けて

 坂本監督が亡くなってしまい、TYOの方向性に関して様々な議論が行われてきました。その中でやはり私達のルーツは東日本大震災、そして坂本龍一監督であり、それは監督がいない今でも変わることはありません。TYOにしか演奏できない坂本楽曲をぜひお聴きください。

福島県出身 大学2年
海津洸太(trb)

2019年8月9日 河口湖合宿にて

第10回 被災地復興支援チャリティ・コンサート
~4人のホールアドバイザーとともに~

2024.3/11(月)14:30 ミューザ川崎シンフォニーホール


出演
指揮:秋山和慶 (ミューザ川崎シンフォニーホール チーフアドバイザー)
パイプオルガン:松居直美 (ミューザ川崎シンフォニーホール ホールアドバイザー)
ピアノ:小川典子、宮本貴奈 (ミューザ川崎シンフォニーホール ホールアドバイザー)
ソプラノ:鈴木美紀子
管弦楽:東北ユースオーケストラ
司会:山田美也子

プログラム
【プレトーク】
登壇者:秋山和慶、松居直美、小川典子、宮本貴奈
司会:山田美也子

【第1部】パイプオルガン&ピアノステージ
松居直美(パイプオルガン)
鈴木美紀子(ソプラノ)★
−J.S.バッハ:わが魂は主をあがめ(マニフィカト・フーガ) BWV 733
−松岡あさひ:楽園の鳥たち★
小川典子(ピアノ)
−ラフマニノフ(小川典子編曲):ヴォカリーズ
−リスト:ラ・カンパネラ

【第2部】オーケストラステージ
秋山和慶(指揮)
宮本貴奈(ピアノ)☆
東北ユースオーケストラ(管弦楽)
−坂本龍一:Aqua
−坂本龍一:The Last Emperor(ラストエンペラー)
−坂本龍一:Merry Christmas Mr.Lawrence(戦場のメリークリスマス)
ほか

問:ミューザ川崎シンフォニーホール044-520-0200
https://www.kawasaki-sym-hall.jp

2019年3月31日 東京公演より

坂本龍一監督追悼
東北ユースオーケストラ演奏会 2024


出演
指揮:栁澤寿男
演奏:東北ユースオーケストラ
朗読:吉永小百合(福島、東京公演)
   のん(岩手、宮城公演)
司会:渡辺真理

ゲスト:中野翔太(ピアノ)
    成田達輝(ヴァイオリン)

プログラム(予定)
坂本龍一:El Mar Mediterrani
     いま時間が傾いて
     Anger – from untitled 01
     Kizuna World
     The Sheltering Sky
     The Last Emperor
     Merry Christmas Mr.Lawrence
     ほか
*曲目は変更になる場合がございます。

【岩手公演】
2024.3/23(土)14:00 盛岡市民文化ホール
【宮城公演】
2024.3/24(日)14:00 東京エレクトロンホール宮城
【福島公演】
2024.3/30(土)14:00 けんしん郡山文化センター(郡山市民文化センター)
岩手/宮城/福島公演
問:キョードー東北022-217-7788

【東京公演】※完売
2024.3/31(日)14:00 サントリーホール
問:DISK GARAGE 問合せフォーム
https://www.diskgarage.com/form/info

https://tohoku-youth-orchestra.org