フォルクハルト・シュトイデ(ヴァイオリン、トヨタ・マスター・プレイヤーズ,ウィーン芸術監督)

TOMASは芸術家の塊のような集団です

(C)Ayumi Kakamu

 今年もまた、トヨタ・マスター・プレイヤーズ,ウィーン(TOMAS)による「ウィーン・プレミアム・コンサート」が、全国7ヵ所で開催される。今回のテーマは「ウィーンの魔法に身をゆだねて」。プログラムA1とA2では、前半にピアノの小菅優やフルートのエルヴィン・クランバウアーが独奏を務めるモーツァルトの協奏曲が演奏され、後半にシュトラウス・ファミリーの音楽が披露される。プログラムBでは名古屋フィルも参加し、下野竜也が指揮を執ってR.シュトラウスの2つの交響詩が取り上げられる。TOMASの芸術監督で、コンサートマスターも務めるフォルクハルト・シュトイデに今回の公演についてきいた。

——TOMASの特徴について教えてください。

 「私もメンバーも音楽を実に深く愛しています。多くの皆さんにその音楽をお伝えしようと情熱を燃やしています。TOMASの特徴は約30人のメンバーの一人ひとりが最高のキャラクターの持ち主で、ソリストとしての個性も際立っています。それでも、個人の強さ、素晴らしい演奏技術を前面に押し出さず、TOMASという室内オーケストラに溶け込んで一つの精神となって演奏をします。個々のインスピレーションと技巧をもって一緒に音楽を作り上げる芸術家の塊のような集団です」

——どのようにメンバーを選ばれましたか?

 「私が個人的に長年よく知っている演奏家たちです。ウィーン・フィルやウィーン国立歌劇場など世界的なオーケストラのメンバーもたくさん参加します。彼らは忙しいスケジュールをうまく調整し、毎年参加するように努力してくれています」

——TOMASでシュトイデさんは芸術監督としてどういう役割を担っていますか?

 「音楽作りについて、私は自分の思うところをメンバーに明確に伝えながら、また彼らの思うところも汲み取るようにしています。オーケストラの指揮者との違いは、指揮をしながら私自身もメンバーと一緒に座って演奏もするということ。メンバーとの距離が近く、彼らは私のことを信頼してついてきてくれます。私がどのくらいリハーサルするか決め、休憩中にはダメ出しをし、その先の時間割を組むなど、音楽作りがうまく先に進むように考えます。リハーサルの雰囲気は、お互いに大きなリスペクトを持ち、信頼に満ちて和気藹々としています」

——指揮者なしで、シュトイデさんがコンサートマスターとして小編成オーケストラをリードするときに心がけていることは何ですか?

 「コンサートマスターとしての自分の責任は、『正しく一緒に合わせて演奏すること』と、テンポ、強弱、種々の楽器のグループのバランスの調整です。そのためには演奏者がお互いに聴き合って他の楽器の特性に気をつけることが大切です。例えば低い音域の楽器が高い音域の楽器に消されないように注意を払います」

——今回のプログラムについて。前半はモーツァルトの協奏曲を演奏しますね。

 「ピアノ協奏曲第27番のソリストは、昨年のベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番で素晴らしい演奏を聴かせてくれた小菅さんにお願いしました。彼女は私たちと同じように音楽を解釈します。彼女がソリストとして示した幅のある大きな芸術的感情の表現は、私たちが願っていることと同じでした。

 モーツァルトのフルート協奏曲のソリスト、クランバウアーさんの選出理由は、TOMASの中からソリストを出して聴いてもらいたいと考えたからです。この室内オーケストラにどれほど素晴らしい演奏家がいるのかをご理解いただけると思います」

——演奏会後半はシュトラウス一家の音楽が並んでいます。

 「私たちのオーケストラが彼らの作品、ワルツ、ポルカ、マーチを演奏することは当然の習わしです。私もこの音楽の中毒症で、ものすごく好んで演奏します。これは娯楽音楽ではなく、深く感じる偉大な音楽だと思います。また歴史上の重要な作品とも肩を並べることができるでしょう。それらは“ウィーンの音楽”であり、私たちウィーンのオーケストラにとってとても心深く結ばれていると感じることができるのです」

取材・文:山田治生
(ぶらあぼ2024年3月号より)

Profile】
1971年ライプツィヒに生まれ、5歳よりヴァイオリンを始める。88年ベルリンのハンス・アイスラー音楽大学に入学、ヨアヒム・ショルツ、ヴェルナー・ショルツ両教授に師事。大学在学中、エスタ国際ヴァイオリン・コンクール第4位入賞、シュポア国際ヴァイオリン・コンクールにて特別賞を受賞する他、グスタフ・マーラー・ユース管弦楽団の第1コンサートマスターを務める等、 オーケストラ奏者としても活躍。94年同大学卒業と同時にウィーンに留学、元ウィーン・フィル奏者であるアルフレド・スター教授に師事。同年コンサートマスターとしてウィーン国立歌劇場管に入団。98年ウィーン・フィルに入団、99年よりコンサートマスターを務めている。2002年には自らが主宰するシュトイデ弦楽四重奏団を結成する等、ソロや室内楽の多方面で活躍している

Information
ウィーン・プレミアム・コンサート
2024.3/28(木)19:00 東京オペラシティ コンサートホール(A2) 
3/30(土)14:00 キッセイ文化ホール(長野県松本文化会館)(A2)
3/31(日)14:00 豊田市コンサートホール(A1)(完売)
4/3(水)19:00 愛知県芸術劇場コンサートホール(B)
4/4(木)19:00 アクロス福岡シンフォニーホール(A1)
4/5(金)19:00 札幌コンサートホール Kitara(A2)
4/6(土)17:00 東京エレクトロンホール宮城(A2)
4/7(日)16:30 サントリーホール(A1)


【PROGRAM A1・A2】黄金のホールに響く音色をあなたに
出演/トヨタ・マスター・プレイヤーズ,ウィーン(管弦楽)、エルヴィン・クランバウアー(フルート、A1)、小菅 優(ピアノ、A2)
曲目/モーツァルト:セレナード第13番 ト長調「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」 K.525、フルート協奏曲第1番 ト長調 K.313 (A1)、ピアノ協奏曲第27番 変ロ長調 K.595(A2)
   J.シュトラウスⅡ世:喜歌劇《ジプシー男爵》序曲、ワルツ「千夜一夜物語」 、同「我が家で」
   ヨーゼフ・シュトラウス:ポルカ・シュネル「前へ!」 、ポルカ・マズルカ「遠方から」 他

【PROGRAM B】幻想、夢、そして冒険の世界へ
出演/トヨタ・マスター・プレイヤーズ,ウィーン(管弦楽)、名古屋フィルハーモニー交響楽団(管弦楽、第2部のみ)、下野竜也(指揮、第2部のみ)、エルヴィン・クランバウアー(フルート)、ペーテル・ソモダリ(チェロ)、エルマー・ランダラー(ヴィオラ)
曲目/モーツァルト:フルート協奏曲第1番 ト長調 K.313、R.シュトラウス:交響詩「死と変容」、交響詩「ドン・キホーテ」

問:〈東京〉ウィーン・プレミアム・コンサート事務局03-5210-7555 
  〈札幌〉道新プレイガイド0570-00-3871 
  〈仙台〉河北新報社 事業部022-211-1332
  〈松本〉オフィス・マユ026-226-1001 
  〈豊田・名古屋〉中日新聞コンサートデスク052-678-5323 
  〈福岡〉西日本新聞イベントサービス092-711-5491

https://www.toyota.co.jp/tomas/ 
※プログラムの詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。