第9回仙台国際音楽コンクール 開催概要が発表

 2月1日、第9回仙台国際音楽コンクールの開催発表記者会見が都内で行われ、植田克己(運営委員長)、堀米ゆず子(ヴァイオリン部門審査委員長)、野平一郎(ピアノ部門審査委員長)、郡和子(仙台市長・組織委員会会長)が登壇した。

左より:堀米ゆず子、植田克己、郡和子、野平一郎

 2001年、開府400年を記念して仙台市が創設し、以来3年ごとに行われている同コンクール。過去の入賞者には、ヴァイオリン部門では成田達輝(第5回・第2位)や青木尚佳(第6回・第3位)、ピアノ部門ではユジャ・ワン(第1回・第3位)や津田裕也(第3回・第1位)ら、国際的な活躍をみせる奏者が名を連ねている。

 2025年の第9回は、ヴァイオリン部門が5月24日から6月8日、ピアノ部門が6月14日から6月29日にかけて開催。動画での予備審査を通過した出場者たちが、予選、セミファイナル、ファイナルの3ステージで審査される。コンチェルトを課題曲の中心に据えるという特色を持ち、セミファイナル以降はホストオーケストラを務める仙台フィルハーモニー管弦楽団が出場者をサポートする。第9回の指揮者は、広上淳一(ヴァイオリン部門)・高関健(ピアノ部門)。

 教育者として長年にわたり若手ピアニストの育成に力を注ぎ、現在は東京藝術大学名誉教授を務める植田。これまでのコンクールを振り返って、「私はこのコンクールには第2回から関わっていますが、毎回レベルが上がっていると強く感じており、世界の音楽関係者からの注目度も高まってきていると考えています。加えて、仙台フィルとの深い関係も重要な特長です。オーケストラの皆さんが『ソリストをサポートするために自分たちがいる』という意識を共有してくださっています。これは世界でも類を見ない素晴らしいことだと思います」と述べた。

植田克己

 ハイメ・ラレード、寺神戸亮、米元響子ら新たに6名の審査委員を迎えるヴァイオリン部門。堀米は、同部門の課題曲について「次回の課題曲の特徴として、すべてのステージでモーツァルトの楽曲が入っていることが挙げられます。また、名物になりつつある、セミファイナルでのコンサートマスターとしての演奏では、モーツァルトのカッサシオンとブラームスの交響曲第1番2楽章を選びました。前者ではこの作曲家特有の上品さや形式の表現、後者では単にソリスティックなだけではないオーケストラとの対話を期待しています」とコメント。

堀米ゆず子

 ピアノ部門では、新たな3名(ジョゼプ・コロン、ケヴィン・ケナー、レナ・シェレシェフスカヤ)に加え、第4回の覇者ヴァディム・ホロデンコが再び審査委員陣に名を連ねていることも大きなトピック。野平は、「課題曲は、ヴァイオリン部門と示し合わせたわけではないのですが(笑)、モーツァルトの作品を多く取り上げました。この作曲家の様々な音楽の性格は、演奏家にとってのある種の原点を作るものだと考えています。そこをどこまで自分のものとして表現できるのか、という点が見どころです。また、前回からファイナルの課題曲に矢代秋雄先生の協奏曲を加えました。やはり日本のコンクールですので、出場者の皆さんにも邦人作曲家の作品に関心を持っていただければ、と考えています」と、課題曲を通して出場者に期待することを説明した。

野平一郎

 申込受付期間は2024年7月10日から10月23日まで。次回も世界中から集った若き俊英たちがしのぎを削る、熱い1ヵ月となりそうだ。

審査委員一覧

■ヴァイオリン部門
●委員長

堀米ゆず子【日本】
●副委員長
堀正文【日本】
ヤンウク・キム【アメリカ】
●委員
ボリス・ベルキン【ベルギー】
フリーデマン・アイヒホルン【ドイツ】(新規)
ハイメ・ラレード【アメリカ】(新規)
チョーリャン・リン【アメリカ】
ミハエラ・マルティン【ドイツ】(新規)
リヴィウ・プルナル【ルーマニア/ベルギー】(新規)
寺神戸亮【日本】(新規)
米元響子【日本】(新規)

■ピアノ部門
●委員長

野平一郎【日本】
副委員長
海老彰子【日本】
ジャック・ルヴィエ【フランス】
委員
ジョゼプ・コロン【スペイン】(新規)
ダン・タイ・ソン【カナダ/ヴェトナム】
ケヴィン・ケナー【アメリカ】(新規)
ヴァディム・ホロデンコ【ウクライナ】
キム・デジン【韓国】
マティアス・キルシュネライト【ドイツ】
練木繁夫【日本】
レナ・シェレシェフスカヤ【ロシア/フランス】(新規)

第9回仙台国際音楽コンクール
●ヴァイオリン部門

2025.5/24(土)~6/8(日)
●ピアノ部門
2025.6/14(土)~6/29(日)
日立システムズホール仙台(仙台市青年文化センター)
https://simc.jp