周防亮介(ヴァイオリン)の協奏曲 “パガニーニ・ブルッフ・シベリウス”

名手が挑む前代未聞の協奏曲3本勝負!

左:周防亮介 ©松尾淳一郎
右:渡邊一正 ©Satoshi Mitsuta

 周防亮介は挑戦をやめない。彼は、2023年1月、サントリーホール 大ホールでの無伴奏リサイタルでパガニーニの「24のカプリース」とバッハのパルティータ第2番を弾き切り、同年6月には、ブラームス、メンデルスゾーン、チャイコフスキーの協奏曲3曲に加え、ラヴェルのツィガーヌ等の小品4曲を一晩で披露した。そして4月、今度はパガニーニ、ブルッフ、シベリウスの協奏曲3曲に挑む。

 1995年生まれの周防は、2016年ヴィエニャフスキ国際コンクール入賞および審査員特別賞をはじめ、日本音楽コンクールやオイストラフ国際コンクールなど、国内外の数々のコンクールで優勝や入賞の実績を持つ若手きっての名手。12歳での京響との共演以来、パリ管、フランス国立管、N響、読響など国内外の多数の著名オーケストラと、15歳での初リサイタル以来、清水和音や上田晴子など第一線で活躍するピアニストと共演を重ね、CDも4枚リリースしている。

 周防の素晴らしさは、まず類い稀な美音と、それを生かした流麗な節回し。難曲ばかりを集めた無伴奏CDをリリースするほどの超絶テクニックも有しているが、彼のすごいところは、それを力まずにこなし、持てる技巧を音楽表現自体に投影させることにある。そして的確な音楽作りで、楽曲およびヴァイオリンの美点を示し、前記のようなスタミナを要するプログラムでも、終始高いクオリティを保ち続ける。すなわち真の実力者である。

 今回の3曲は、ロマン派の名作揃いだった前回よりも多様性が増した。パガニーニの1番では超絶技巧と歌う能力、ブルッフの1番では豊潤な音色とロマンティックな表現力、シベリウスでは強靭さと繊細さ、民族性とモダン性の共生が求められる。だが、それらすべてを兼ね備えた周防ならば、我々は安心して身を委ねることができる。パガニーニでは「24のカプリース」等でみせた技巧の冴えや美音による歌い回し、ブルッフでは前回のメンデルスゾーン等で示した流麗かつ芯のあるパフォーマンス、シベリウスでは芳醇で深みのある表現力が発揮されるであろうし、何より各曲の魅力をナチュラルに伝えて、聴く者を楽しませてくれるに違いない。

 共演は、渡邊一正指揮・日本フィルハーモニー交響楽団。23年6月の演奏会も指揮して周防の特性や破格の持続力を知る渡邊のリードも、経験豊富な日本フィルのバックも実に心強い。しかも今回はシベリウスの協奏曲があるので、同作曲家の演奏に関して我が国随一の伝統を誇る日本フィルの強みも大いに生かされる。

 稀有の実力を持つ俊才の腕前と、普段まとめて聴くことなどまずない3つの協奏曲の魅力を満喫できる本公演。ぜひとも生で体験したい。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2024年2月号より)

2024.4/4(木)19:00 サントリーホール
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