東京都交響楽団(都響)の次期音楽監督(2015年4月就任予定)大野和士と楽員4名が12月16日、都響の本拠地である台東区の金竜小学校を訪問。5年生を対象に、都響が独自に取り組んでいる青少年教育プログラム「都響マエストロ・ビジット」をおこなった。
「都響マエストロ・ビジット」は、青少年のための教育活動の一環として2004年に前常任指揮者ジェイムズ・デプリーストと都響が立ち上げ、今回で16回目となる。
特別授業第1部は大野和士によるもの。大野は指揮者になったきっかけや、ピアノを学んで音楽の道に進んだことなど、自身のこれまでを振り返りながら話し、また指揮者という仕事については、「他のミュージシャンと違い、指揮棒だけをもってオーケストラ前に立ち、作曲家の心を通し、伝える仕事であること」と説明。続いて、生徒に指揮棒を手にしてもらい、「ウィリアム・テル序曲」「エーデルワイス」「レット・イット・ビー」で2,3、4拍子を体験。苦戦しながらも、生き生きとした表情を浮かべた生徒の指揮に、大野がピアノで応えた。
第2部は都響楽員4名、フルート小池郁江、ホルン岸上穣、トロンボーン青木昂、パーカッション安藤芳広が加わり、それぞれの楽器の説明と音色を披露、演奏が終わると生徒から大きな拍手がおこった。パーカッションは学校所有の楽器が使われ、ドラムセットに安藤が入ると、ピアノに大野が、さらには楽員、生徒が打楽器を手に持ち、「都響+金竜バンド」で大合奏になる場面も。
最後に生徒からの「演奏者と息を合わせるにはどのぐらい時間がかかるか」との質問に、大野は「だいたい3日間の練習を経て、ひとつのコンサートを仕上げます。ただ長い目でみると年単位、指揮者と息が本当の意味であってくるのは、ある程度の時間がかかります」と答え、「この次は皆さんとコンサートホールでお目にかかれるのを楽しみにしています」と締めくくった。