2023年12月の海外公演情報

Wiener Staatsoper Photo by Dimitry Anikin on Unsplash

『ぶらあぼ』誌面でご好評いただいている海外公演情報を「ぶらあぼONLINE」でもご紹介します。海外にはなかなか出かけられない日々が続きますが、“妄想トラベル”を楽しみましょう!
[以下、ぶらあぼ2023年9月号海外公演情報ページ掲載の情報です]

曽雌裕一 編

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 お馴染みのウィーン・フィル「ニューイヤー・コンサート」は、同じ内容の公演が12月30日、31日にも行われるが、今年の担当指揮者はクリスティアン・ティーレマン。彼は「ニューイヤー・コンサート」だけでなく、12月中のウィーン・フィル主要公演全ての指揮を任されている。12月前半に組まれたピアノのイゴール・レヴィットをソリストとするブラームスのピアノ協奏曲第2番と交響曲第3番のプログラムなども、なかなか渋い選曲だ。

 さて、ティーレマンが年末にウィーンに登場してしまうので、手兵のシュターツカペレ・ドレスデンは誰が振るのかと見てみると、ちょっと意外なことに、ドレスデンの「ジルヴェスター・コンサート」は、本来ならウィーンとの結びつきの方が強いはずのウェルザー=メストが指揮を担当する。しかも、ピアノのレヴィットがここにも登場して、何だか、ティーレマンとメストとレヴィットの三つどもえ状態のようになっていて面白い。一方、ベルリン・フィルの「ジルヴェスター・コンサート」にはペトレンコが指揮者として登場。ミクネヴィチウテのジークリンデ、カウフマンのジークムント、ツェッペンフェルトのフンディングという注目のキャスティングによるワーグナー「ワルキューレ」第1幕が上演される。今シーズン中には、このプログラムは、年末を除くと来年3月に「バーデン=バーデン復活祭音楽祭」で1公演予定されているだけなので、ペトレンコ・ファンにとっては聴き逃せない公演だろう。それに加えて興味深いのは、ベルリン・フィルでも、先ほどのウィーン・フィルと同様に、ブラームスの交響曲第3番で終わる演奏会をバレンボイムが振ることになっていることだ。しかも、前プロのベートーヴェンのピアノ協奏曲第2番にはアルゲリッチがソリストとして登場する豪華版。一時期完全引退をにおわせていたバレンボイムもここに来てけっこう仕事量が増えている。

 では、かつてのバレンボイムの本拠地であったシュターツカペレ・ベルリンはどうかというと、現在ニューヨーク・フィルのシェフであるヴァン・ズヴェーデンがやってきて、ベートーヴェンの「第九」を振る。テノールには、人気の衰えないフォークトが登場。ちなみに、ベルリン州立歌劇場の方は、注目女性指揮者ヨアナ・マルヴィッツの振るR.シュトラウス「ばらの騎士」が年末のオペラ公演を彩る。もちろん、手兵のベルリン・コンツェルトハウス管の「年越しコンサート」も彼女が振る。女性指揮者といえば、八嶋恵利奈さんの名前も、相変わらずベルリン・コーミッシェ・オーパーの12月のスケジュールに複数公演登場しているのが心強い。

 ちなみに個人的には、ハンブルクのNDRエルプフィルの「ジルヴェスター・コンサート」にミンコフスキが登場して、オッフェンバック「地獄のオルフェ(天国と地獄)」を振るのが楽しみ。なお、12月のミンコフスキは、スペインのテアトル・レアル、パリのシャンゼリゼ劇場でJ.シュトラウスの「こうもり」を振るほか、珍しいことにベルリン放送響にも登場してブルックナー交響曲第0番を演奏する。

 例年12月7日を新シーズン初日とするミラノ・スカラ座は、久々、本格的イタオペ、ヴェルディの「ドン・カルロ」(シャイー指揮)で堂々開幕。他にオペラの注目公演としては、新演出(コスキー演出)となるバイエルン州立歌劇場の「こうもり」、バイエルン放送響のモーツァルト「イドメネオ」(ラトル指揮)、チューリヒ歌劇場のラモー「プラテー」(アイム指揮)、ジュネーヴ大劇場のR.シュトラウス「ばらの騎士」(ノット指揮)、オペラ・コミークとチューリヒ歌劇場でのオッフェンバックの珍しいオペレッタ公演、モネ劇場とフランクフルト歌劇場でのリムスキー=コルサコフのオペラ公演など、まだまだ書き足りない。ソヒエフ指揮チェコ・フィルでの、エマールをソリストとしたラヴェルのピアノ協奏曲も聴きもの。
(曽雌裕一・そしひろかず)
(コメントできなかった注目公演も多いので本文の◎印をご参照下さい)