鈴木優人プロデュース/BCJオペラシリーズ第3弾 ヘンデル《ジュリオ・チェーザレ》記者会見

 指揮者、チェンバロ奏者、プロデューサーと多方面で活躍をみせている鈴木優人がプロデュースする、バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)のオペラシリーズ第3弾、ヘンデルのオペラ《ジュリオ・チェーザレ》が、10月に東京、横浜、兵庫の各地で上演される。これに先立って、6月14日に都内で記者会見が行われ、指揮・チェンバロを務める鈴木、クレオパトラ役のソプラノ・森麻季が登壇。加えて、演出の佐藤美晴がオンラインで参加した。

左:鈴木優人 右:森麻季

 2017年のモンテヴェルディ《ポッペアの戴冠》でスタートしたBCJのオペラシリーズは、20年に第2弾としてヘンデル《リナルド》を上演し、今回はコロナ禍を経て3年ぶりの公演となる。

 毎回、豪華なキャスト陣が集結する同シリーズだが、今回も森、大西宇宙(アキッラ役)のほか、ティム・ミード(チェーザレ役)、アレクサンダー・チャンス(トロメーオ役)、藤木大地(ニレーノ役)という3人のカウンターテナーが一堂に会する。

 会見の冒頭、プロデューサーの鈴木優人が挨拶に立った。
 「2020年秋に《リナルド》を取り上げたこのシリーズ、前回はまさにコロナ禍が始まって間もない頃でした。パンデミックの制約の中でも、芸術が生き続けるということを証明しようと、みんなで一丸となって取り組んだ公演で、本当にありがたい機会でした。そして今回は、3年ぶりにヘンデルの素晴らしいオペラを取り上げて、しかも今回から関西圏にも仲間が加わって全国3ヵ所で上演できることになりました。セミ・ステージ形式ということで会場のサイズの違いにも柔軟に対応しながら、それぞれの会場で、素晴らしい作品を通して笑いとエネルギーと歴史の深いストーリーをじっくり味わっていただく、充実した時間を過ごしていただけたらと思っています」

プロデューサー・指揮・チェンバロ:鈴木優人

 続いて、BCJ定期で演出経験のある佐藤美晴が、今回のセミ・ステージ形式公演について話した。
「今回はセミステージということで、衣裳、照明、演技の作り方が重要になります。空間としては、オーケストラという宇宙を中心にその周りの人間を描くイメージを持って作っています。音楽と光が一緒になり、その中で人間が動くというシンプルな舞台であるセミ・ステージ形式では、音楽と人間が結びつく、オペラの根源的な姿が見せられると思っています」

演出:佐藤美晴

 今回がBCJと6度目のオペラ共演となるという森麻季は、「2009年のエディンバラ音楽祭でBCJさん、ティムさんとご一緒した《リナルド》で、隣で聴いていて自分の歌を忘れてしまいそうになるほど感動したのを覚えています。彼が演じるチェーザレを愛するクレオパトラ役を大事に演じたいと思います。
 また、クレオパトラを全幕を通して歌うのは初めてですし、BCJさん、キーラントさん、チャンスさんに加え、日本を代表する素晴らしいキャストの皆様とともに、佐藤さん演出のオペラをいかに具現化していくのかがこれからの楽しみです」と話した。

クレオパトラ役:森麻季

 タイトルロールを歌うティム・ミードからは、「今回の役は自分の声に合った役。日本での公演を楽しみにしている」とのビデオメッセージが寄せられた。

チェーザレ役:ティム・ミード

 また、アキッラ役・大西宇宙からもメッセージが届いた。
「鈴木さんプロデュースのオペラには、《リナルド》に続き2回目の出演になります。奇しくもそれがBCJデビュー公演となり、その後の様々な共演のきっかけとなりました。今回の《ジュリオ・チェーザレ》で演じるアキッラは、《リナルド》のアルガンテに続き、陰謀を秘めた敵役で、ダ・カーポ・アリアの流麗な調べに乗せて、アキッラの多面性を表現できたらと思います」

 最後に鈴木は、各公演について以下のように述べた。
「東京での公演は、BCJの本拠地として定期演奏会を行っている東京オペラシティですが、慣れ親しんだ場所がまた別の世界に変わっていくのが楽しみです。
 神奈川県立音楽堂は、前回の《リナルド》でご一緒し、コロナ禍の苦しさを乗り越えた思い出があります。また、この会場は昨年亡くなられた一柳慧先生という偉大な方との思い出の場所でもあります。ご自身の専門ではないバロックオペラの領域にも興味を持ってくださっていましたし、かけてくださった言葉はいまでも私の中で財産として残っていますので、一柳先生に捧げる気持ちも持って作りたいと思っています。
 そして兵庫県立芸術文化センターは、森さん、大西さんともご一緒したジルベスターコンサートをさせていただいた思い出の場所で、『みせる』ということに徹底してこだわるとても熱い現場でした。関西圏でバロックオペラが上演されることはなかなかないと伺っておりますので、盛り上がる公演にしたいです」

 バロック音楽のスペシャリストと、豪華キャスト陣が集結した公演に期待が高まる。

写真・文:編集部

【Information】
ヘンデル 歌劇《ジュリオ・チェーザレ》
〈兵庫公演〉
バロック・オペラ・エボリューション2023
10/7(土)15:00 兵庫県立文化センター KOBELCO 大ホール
問:芸術文化センターチケットオフィス 0798-68-0255
https://www1.gcenter-hyogo.jp

〈東京公演〉
鈴木優人プロデュース/BCJ オペラシリーズ Vol.3
10/11(水)16:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212
https://www.japanarts.co.jp

〈横浜公演〉
音楽堂室内オペラ・プロジェクト第6弾
10/14(土)15:00 神奈川県立音楽堂
問:チケットかながわ 0570-015-415
https://www.kanagawa-arts.or.jp

出演
指揮・チェンバロ:鈴木優人
管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン
演出:佐藤美晴

チェーザレ:ティム・ミード(カウンターテナー)
クレオパトラ:森麻季(ソプラノ)
コーネリア:マリアンネ・ベアーテ・キーラント(アルト)
クーリオ:加藤宏隆(バス・バリトン)
セスト:松井亜希(ソプラノ)
トロメーオ:アレクサンダー・チャンス(カウンターテナー)
アキッラ:大西宇宙(バリトン)
ニレーノ:藤木大地(カウンターテナー)