4年ぶりの開催となるラ・フォル・ジュルネ TOKYO。今回のテーマは「Beethoven ――ベートーヴェン」。音楽祭を心待ちにしていたのはわれわれファンだけではなくアーティストも同様。そこで出演者の皆さまからいただいたメッセージをご紹介します。プログラムについて、それぞれのベートーヴェン像など、作曲家への、そして音楽祭への熱い想いがこもっています。
Vol.1 福間洸太朗
「お前に音楽家になるための勇気と覚悟があるのか」byベートーヴェン
──LFJで演奏するプログラムについて
ソロとアンサンブルとコンチェルトを弾かせていただきます。
ソロはベートーヴェンとスクリャービンを取り上げて、「幻想曲」と「幻想ソナタ」というプログラムです。ベートーヴェン「幻想曲」、ピアノ・ソナタ第13番、スクリャービンのピアノ・ソナタ第2番 、「幻想ソナタ」、「幻想曲」を演奏します。
アンサンブルはまだどの曲を誰が弾くかわからないのですが(2月のLFJナントでのコメント)、6人のピアニスト* が出るので、私が編曲したトルコ行進曲を3台12手で演奏します。これは2020年に開催予定だったラ・フォル・ジュルネのために作りました。ルネ・マルタンから直々に依頼されたのですが、私はそれまでピアノ・ソロ曲の編曲はいくつもやってきたのですが、連弾すらやったことがない中、いきなり3台の編曲に挑戦するということになりました。苦労した部分もありますが、皆さんに楽しんでいただける仕掛けもあるので、ぜひお楽しみください。
アンサンブルのコンサートでは、他にもベートーヴェンにちなんだ2台ピアノの連弾の曲などが入っています。
コンチェルトは、ベートーヴェンの協奏曲第2番。これは長いこと弾きたいと思っていた曲で、念願叶って今回初めてオーケストラと共演させていただきます。
*広瀬悦子、福間洸太朗、レミ・ジュニエ、ジャン=フレデリック・ヌーブルジェ、ガイスター・デュオ
──あなたにとってベートーヴェンとは?
14歳のときに初めて海外に行ったのがオーストリアのウィーンだったのですが、ウィーンの中央墓地、ベートーヴェンのお墓の前に立ったとき金縛りにあってしまいまして、動けなくなったんです。ベートーヴェンに胸ぐらを掴まれたような感じで、「お前に音楽家になるための勇気と覚悟があるのか」と幻聴なのか、言われたような感じがしました。その当時、私は国内のコンクールでもいい成績を取っていたわけではなく、実際にピアニストになれるかもわからなかったので、「ちょっとわかりません…」と心のなかで答えました。そういった経験があるので怖いイメージもあって。
小さい頃から色々な曲を勉強してきたのですが、音楽家の中で一番苦労してきた、苦悩もしてきた、そして人類みんなを幸せにしたい、みんなに生きる力を与えたいという想いに溢れた、素晴らしい音楽家だったのではないかと思います。
──久しぶりの開催となるLFJ TOKYO、今の思いをお聞かせください
4年ぶりに開催されて良かったと思います。ヨーロッパでは、ロックダウンの期間は長かったものの、再開してからはマスクなしで演奏会に行ったり、「ブラボー」を叫んだりしていますが、日本ではまだそういった雰囲気ではなくて。人を思う気持ち、思いやりを持つということが日本文化に根付いているからなのではないかと思います。ようやくこうやってラ・フォル・ジュルネが東京で開催されるということで、皆さんが演奏会に向かう姿を想像するだけで幸せな気持ちになります。
【Information】
◎公演番号121〈幻想曲&幻想ソナタ〉
5/4(木・祝)10:00 ホールC〈エレオノーレ〉
○出演:
福間洸太朗(ピアノ)
○曲目:
ベートーヴェン:幻想曲 op.77
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第13番 変ホ長調op.27-1
スクリャービン:ピアノ・ソナタ第2番 嬰ト短調 op.19 「幻想ソナタ」
スクリャービン:幻想曲 ロ短調 op.28
◎公演番号122〈現代に生きるベートーヴェン・ア・ラ・カルト〉
5/4(木・祝)12:15 ホールC〈エレオノーレ〉
○出演:
広瀬悦子(ピアノ)**
福間洸太朗(ピアノ)*
レミ・ジュニエ(ピアノ)**
ジャン=フレデリック・ヌーブルジェ(ピアノ)*
ガイスター・デュオ(ピアノ・デュオ)**
○曲目:
キルヒナー=エッセール:2台ピアノ・8手のための「ベートーヴェン交響曲ダイジェスト」**
J.アダムズ(アントンセン編):2台ピアノのための「ロール・オーヴァー・ベートーヴェン」*
ベートーヴェン(福間洸太朗編): 3台ピアノ・12手のための「トルコ行進曲」(『アテネの廃墟』から)[新編曲・初演]
◎公演番号224〈ルネ・マルタンのル・ク・ド・クール ~ハート直撃コンサート~〉
5/5(金・祝)17:45 ホールC〈エレオノーレ〉
○出演:
エリプソス四重奏団(サックス四重奏)
ガイスター・デュオ(ピアノ・デュオ)
福間洸太朗(ピアノ)
○曲目:
ベートーヴェン :ワルトシュタイン伯爵の主題による4手のための8つの変奏曲 WoO.67
ベートーヴェン:4手のための3つの行進曲 op.45より(抜粋)
ベートーヴェン:バガテル「エリーゼのために」イ短調 WoO59
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番 嬰ハ短調 op.27-2 「月光」 ほか
◎公演番号312〈アイディアと覇気の噴出!若きベートーヴェンの想像力を見よ〉
5/6(土)12:45 ホールA〈マリア・マグダレーナ〉
○出演:
福間洸太朗(ピアノ)
横山奏(指揮)
東京21世紀管弦楽団
○曲目:
ベートーヴェン:バレエ音楽「プロメテウスの創造物」op.43より 序曲
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 op.19
福間洸太朗 公演詳細ページ
https://www.lfj.jp/lfj_2023/performance/artist/detail/art_A036.html
問:ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2023 運営委員会事務局
lfjtokyo2023@kajimotomusic.com