LEO(箏)

伝統を離れ、箏の新たな地平を切り拓く若き俊英

(c)日本コロムビア

 3月に最新アルバム『GRID//OFF』をリリース。東京と大阪で発売記念リサイタルを開く。公演のほうはタイトルが「GRID ON//GRID OFF」。ONとOFFを対照する。

 「アルバムの“OFF”は、枠を外れる、今までになかったようなことをやりたいというのがテーマで、普通は箏で弾かない音楽、僕自身も数年前ならこれを箏でやろうなんて考えなかったような音楽を入れました。一方で、たとえば2年前のアルバム『In A Landscape』ではクラシックと箏のバランスや調和にテーマを置いていました。ケージだったりバッハだったり、西洋的な作曲法で作られた音楽が、箏とどんな親和性があるのかというメッセージ性を考えていたんですね。それがたぶん、“ON”の部分。今回のアルバムは、選曲の時点で、そのつながりはまったく加味していないんです。
 リサイタルでは、“ON”からどのように外れていったかというストーリー性、最新アルバムのバックグラウンドみたいなところまで含めてお伝えできたらと思っています」

 そのON・OFFという考え方は、日本の伝統芸能を学ぶ過程を示す“守破離”(しゅ・は・り)のサイクルとつながっているという。

 「心に留めている、好きな言葉です。
 まず“守る”。師匠から教えていただいたものを自分の中で消化する段階。デビューしてまもない2017〜18年頃の活動がその位置付けになります。
 次が“破る”。教わった伝統をいったん壊して、自分なりの表現を見つける段階。僕の場合はクラシックとのコラボレーションの中で、多くを学ぶことができました。
 そして“離れる”。今回のアルバムでは、伝統から一度離れて、楽器が箏だということさえ考えませんでした。それが“OFF”。ジャンルにも関係なく、自分の好きな音楽を、完全に自分の技術とセンスと知識とで表現しようと思いました。
 僕はこの“守破離”を直線でなく、ループで考えています。一生勉強し続けるものですから。いったん離れて古典を見つめ直すことで新たな発見があり、もう一度守りのフェーズに入っていく。僕なんかまだそのサイクルの1周目ですが、その軌道は螺旋状に拡大していくのだろうなと思っています」

 東京公演のプログラムはライヒ、坂本龍一、吉松隆から、網守将平、坂東祐大らの新鋭、そして自作まで。裏テーマは「グルーヴ」だ。

 「もし箏に興味がなくても、そんなことに関係なく、“音楽”をかっこよく楽しく聴いていただける場になると思います。ぜひ!」
取材・文:宮本明
(ぶらあぼ2023年5月号より)

LEO 箏リサイタル 2023 – GRID ON // GRID OFF –
2023.6/9(金)19:00 大阪/ザ・フェニックスホール
8/27(日)17:00 浜離宮朝日ホール
問:Mitt 03-6265-3201
https://leokonno.com/news/live_20230827.html

CD『GRID//OFF』
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