【SACD】モーツァルト:交響曲第41番「ジュピター」・第39番/沼尻竜典&トウキョウ・ミタカ・フィル

 沼尻竜典の手兵トウキョウ・ミタカ・フィルハーモニアは、弦の透明な響きと若々しいエネルギーが魅力的だ。モーツァルトの交響曲「ジュピター」第1楽章は、堂々たる風格があり、生き生きとしたリズムに爽快感がある。パウゼにも緊張がみなぎる。緩徐楽章の推移楽句の摩擦音など鋭い不協和音もたまらない。メヌエット中間部の擬似対位法による高揚も素晴らしい。終曲のフーガは美の極み。前半と後半が反復されて、対位法的テクスチュアによる声部の綾を存分に味わえる。コーダの五重ストレッタによるクライマックスは感動的だ。交響曲第39番もリズムの躍動感とスピーディーな展開が秀逸だ。
文:横原千史
(ぶらあぼ2023年5月号より)

【information】
SACD『モーツァルト:交響曲第41番「ジュピター」・第39番/沼尻竜典&トウキョウ・ミタカ・フィル』

モーツァルト:交響曲第41番 ハ長調「ジュピター」、同第39番 変ホ長調

沼尻竜典(指揮)
トウキョウ・ミタカ・フィルハーモニア

収録:2019年3月&2020年8月、三鷹市芸術文化センター(ライブ)
オクタヴィア・レコード
OVCL-00741 ¥3520(税込)