グザヴィエ・ドゥ・メストレ ハープ・リサイタル

世界最高峰のハーピストが切り拓く新たな地平

(c)Nikolaj Lund

 現代最高のハープ奏者の一人である、グザヴィエ・ドゥ・メストレが、フランスとスペインの音楽を中心にリサイタルをひらく。フランス出身のメストレは、16歳でパリ・ハープ・コンクールに優勝し、1998年には世界で最も権威のあるUSA国際ハープ・コンクールで第1位を獲得。バイエルン放送交響楽団を経て、99年からはウィーン・フィルのソロ・ハーピストを務めた。現在は、ソリストとして多彩な活動を展開。ハープのレパートリーに限らず、様々な楽器のための音楽をハープで弾き、この楽器の可能性を広げている。2009年には、ド・ビリー&ウィーン放送交響楽団とロドリーゴの「アランフェス協奏曲」まで録音した。

 今回のリサイタルでは、ギターの名曲、タレガの「アルハンブラ宮殿の思い出」が目を引く。グラナドスの「詩的なワルツ集」のオリジナルはピアノ作品。ファリャの「スペイン舞曲」は、オペラ《はかなき人生》からの編曲版。そのほか、デュセックの3つのピアノ・ソナタ、今回唯一のイタリア音楽であるバロック期のペシェッティのソナタ ハ短調も弾く。ドビュッシーのアラベスク第1番も原曲はピアノ作品である。これらをメストレがハープでどう表現するのか興味津々である。

 もちろん、フォーレのハープのための即興曲第6番や20世紀前半の名ハープ奏者でもあったルニエの代表作といえる「伝説」など、ハープのために書かれた作品では、メストレのエスプリに満ちた演奏を堪能することができるだろう。
文:山田治生
(ぶらあぼ2023年4月号より)

2023.4/27(木)19:00 紀尾井ホール
問:ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212 
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