トッパンホール アンサンブル Vol.11 ウィーンの街に響いた弦楽四重奏曲

精鋭揃いぶみでウィーンゆかりの傑作群に挑む

 「トッパンホール アンサンブル」は、室内楽の殿堂トッパンホールの名物企画だ。ホール自ら選曲を手がけ、曲に見合った奏者を選ぶ。今回は11回目にして、初めて弦楽四重奏曲によるプログラムを組む。

 室内楽の花形たる弦楽四重奏だが、作品が要求するだけのアンサンブルを作り上げるには、時間と経験が必要だ。今回は、それを成し遂げるにふさわしいメンバーを抜擢、リハーサルにも丹念に時間をかけて本番に臨む。

 ヴァイオリンを情熱的に歌わせる周防亮介。猶井悠樹は鋭いベートーヴェン解釈が持ち味のヴァイオリン奏者だ。日本の室内楽シーンには欠かせぬ存在となったヴィオラ奏者、柳瀬省太。チェロの笹沼樹はスケールの大きい音楽を作り出す。

 笹沼はカルテット・アマービレ、柳瀬もストリングクヮルテットARCOなどの一員として活躍。今回もアンサンブルを引き締めるキーマンとなる。また、周防、柳瀬、笹沼の3人は、昨年1月の「トッパンホール ニューイヤーコンサート」で、繊細に歌を重ねていくシューベルトの弦楽五重奏曲を奏でたメンバーでもあった。

 曲目は、ベートーヴェンの第1番とシューベルトの第15番に、ウェーベルンの2作品が入る、ウィーン・プログラム。ファースト・ヴァイオリンは、ベートーヴェンでは猶井、シューベルトは周防が担当、それぞれの持ち味を生かす。優秀な奏者を集めただけのドリーム・チームではない。弦楽四重奏ならではの調和と表現力を発揮してくれることだろう。
文:鈴木淳史
(ぶらあぼ2023年4月号より)

2023.4/25(火)19:00 トッパンホール
問:トッパンホールチケットセンター03-5840-2222 
https://www.toppanhall.com