クシシュトフ・ウルバンスキ(指揮) 東京交響楽団

世界的な活躍を続けるマエストロがこだわりのプログラムを披露

クシシュトフ・ウルバンスキ

 2009年、東京交響楽団に27歳でデビューしたウルバンスキ。2013年から3シーズンにわたって首席客演指揮者を務めた。その若者もベルリン・フィルにデビュー、NDRエルプフィル(旧・ハンブルク北ドイツ放送響)の首席客演指揮者に就くなど、世界各地で活躍するマエストロに。近年もエルプフィルを率いての来日公演(2017)を行い、東響とはショスタコーヴィチの交響曲第4番(2019)、オルフの「カルミナ・ブラーナ」(2021)などでキレのいい演奏を聴かせてくれている。

 今回の東響との共演は、プロコフィエフの「ロメオとジュリエット」からの抜粋で開始。スコアの隅々にまで神経を尖らせる彼の解釈が冴えわたる選曲だ。2曲目は、1970年生まれのフランスの作曲家コネッソンによるカンタータ「ハイターカイト」。軽快でポップな作風でヨーロッパで人気沸騰中の作曲家だ。「ハイターカイト」は、ヘルダーリンの詩をテクストに、ベートーヴェンの交響曲第9番に組み合わされることを想定して書かれたという。

 ウルバンスキは、故郷ポーランドの音楽の紹介にも積極的だ。シマノフスキの「スターバト・マーテル」は、ポーランド語の歌詞のためになかなか取り上げにくいが、民族性を宿しながら静謐で穏やかな音楽は、ぜひこのコンビで聴いておきたい。スロバキアのシャトゥロヴァ、ドイツのロンベルガー、そして与那城敬とともに、東響コーラスもポーランドが誇る宗教曲の傑作に果敢に挑んでくれるはず。
文:鈴木淳史
(ぶらあぼ2023年3月号より)

第709回 定期演奏会 
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