オール・バルトークで贈るシリーズ第4弾
作曲家の代弁者ともいえる圧倒的な表現力とスケールの大きい演奏で常に聴衆を熱狂させるピアニストの田崎悦子。傘寿を迎えてもなおその技術と音楽性、そして情熱は力強く進化し続けている。そんな彼女が昨年より開始した東京文化会館でのリサイタルシリーズ「Joy of Music」が今年も開催されることになった。第4回のテーマは「Joy of Bartók」。バルトークは田崎がもっとも得意とする作曲家の一人ということもあり、プログラムからも熱い想いが感じられる。
第1部は田崎のソロで「子供のために」(抜粋)や「14のバガテル」(抜粋)、「ハンガリー農民歌にもとづく即興曲」に組曲「戸外にて」と、バルトークの様々なスタイルの作品が演奏され、第2部はアンサンブル・プログラムとなっている。「ヴァイオリン・ソナタ第2番」と難曲「2台のピアノと打楽器のためのソナタ」が並ぶという驚きの内容は、田崎が2002年から続けている、八ヶ岳の大自然の中で若い演奏家たちに感動の音体験を届けるワークショップ「Joy of Music in Yatsugatake」の20周年を記念したもの。共演者であるヴァイオリンの城所素雅、打楽器の柴原誠と大場章裕はそれぞれ若手のホープとして様々な場で活躍の幅を広げており、ピアノの藤川天耀は小学校6年生からの「Joy of Music」参加者。田崎の精神を受け継ぐ奏者といっても過言ではない。若き才能たちとの共演によるバルトークの楽曲は、きっと新しい音体験と感動を我々に届けてくれることだろう。ぜひその喜びを味わってほしい。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2022年11月号より)
2022.11/6(日)14:00 東京文化会館(小)
問:カメラータ・トウキョウ03-5790-5560
http://www.camerata.co.jp