満を持して挑むモーツァルト後期三大交響曲
この7月、東京都交響楽団の指揮台に首席客演指揮者のアラン・ギルバートが帰ってくる。今回のプログラムはモーツァルトの三大交響曲。コロナ禍のため中止になった2020年7月のプログラムが改めて開催されることになった。
交響曲第39番、第40番、第41番「ジュピター」の3曲は、古典派交響曲の金字塔であると同時に、現代のオーケストラにとって試金石となるような究極のレパートリーとも言えるだろう。多くの音楽家たちが、モーツァルトの見かけ上のシンプルさに反して、その表現が難しいことを指摘するが、ギルバートも例外ではない。かつてニューヨーク・フィル音楽監督時代にこれら三大交響曲を指揮した際、ギルバートはインタビューに答えて、楽譜上の情報量は少ないがモーツァルトの演奏は大きなチャレンジであること、そしてオーケストラとともにモーツァルトにふさわしいスタイルを実現しなければならないが、スタイルはあくまで表面的なことであって、本質は音楽のストーリーを語ることだと話していた。
すでに都響とは2019年7月にモーツァルトの交響曲第38番「プラハ」を指揮しているほか、ハイドンやベートーヴェンもとりあげており、古典派作品に関してオーケストラとの相互理解を十分に深めたうえで、満を持して「三大交響曲」に取り組む感がある。都響の磨き上げられたアンサンブルから、どんなモーツァルトが引き出されるのか、期待が膨らむ。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2022年7月号より)
第955回 定期演奏会Cシリーズ
2022.7/24(日)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール
第956回 定期演奏会Bシリーズ
7/25(月)19:00 サントリーホール
問:都響ガイド0570-056-057
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