ピアノが好きな小・中学生からの質問に熱血回答
先日、盛況のうちに幕を閉じた「第42回横浜市招待国際ピアノ演奏会」。その前日11月15日には、出演者と子どもたちとの交流会「ピアニストってどんな人?」が横浜みなとみらいホール内で行われ、三浦謙司ら出演者4名と子どもたち15名が参加した。
横浜市招待国際ピアノ演奏会
将来を嘱望される才能を発掘し広く紹介することを目的として1982年にスタート。98年からは横浜みなとみらいホールで毎年秋に開催されており、これまでに28ヵ国から190人を超える若いピアニストがそのステージに立ってきた。出演者は国際コンクールで2回以上の入賞歴をもつ35歳以下を対象に世界中から募集し、企画委員長の海老彰子をはじめとした企画委員が選定にあたる。これまでに、日本からは河村尚子(第27回)、萩原麻未(第32回)、藤田真央(第37回)、小林愛実(第40回)らが出演。また、第41回に出演したイェーデン・イジク=ドズルコ(カナダ)が今年のリーズ国際で優勝するなど、才能あるピアニストの紹介を続けている。
第42回の出演者は以下の4名。交流会の冒頭にはそれぞれがこの日のために選曲したプログラムを披露した。目の前で繰り広げられる熱演に子どもたちは真剣な表情で聴き入っていた。
タチアナ・ドロホヴァ(ロシア※在米) ハエン市国際ピアノコンクール第2位
♪プロコフィエフ:「ロメオとジュリエット」からの10の小品 op.75より〈No.4 少女ジュリエット〉
ガブリエーレ・ストラータ(イタリア) プレミオ・ヴェネツィア第35回大会第1位
♪ショパン:ノクターン第8番 変ニ長調 op.27-2
三浦謙司(日本) ロン=ティボー=クレスパン国際コンクール優勝
♪ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
オルランド・バス(フランス) メシアン・ピアノコンクール第1位
♪自作曲
その後、質疑応答の時間が設けられ、子どもたちから思い思いの質問が投げかけられた。
「ピアニストになるためにどんな努力をしてきましたか?」という問いかけに対して、ガブリエーレ・ストラータは「日々の生活のなかでピアノを弾くことを優先し、多くの時間を費やしてきました。ピアニストになるにはある程度自分の生活をピアノに捧げる必要がありますが、私には音楽に対する情熱と強い愛情があるので成り立っていると思います」とストイックなコメント。
それに対して三浦は、一時ピアノから離れ日本で音楽以外の仕事を経験するなど、ユニークな経歴を持つ彼らしい音楽との向き合い方を明かした。
「音楽家は楽譜に残された作曲家の想いを理解し、感情として分解し表現します。そのためには練習だけでなく、音楽以外の経験や自分の中の感情とも向き合う時間を取らなければいけません。もし練習のために本当にやりたいことができないと感じるのであれば、自分の気持ちに素直に従ってみることも大切。自分にとって何かを犠牲にしてまで練習する必要はない。本当にやりたいことは犠牲と感じないはずだから」
イベント後に行われたメディア向けの取材会でも三浦は、子どもたちへ向けた熱い思いを語った。
「やりたいこと、好きなことが見つかったとしても、それに集中しすぎて視野を狭めてしまうことは良くないと思います。音楽だけに時間を費やすのではなく、子どもらしく遊ぶことにもたくさん時間を使ってほしい。練習は後からでもできるから」
横浜みなとみらいホール
https://yokohama-minatomiraihall.jp