『セイジ・オザワ 松本フェスティバル』へ、サイトウ・キネンが来年から名称変更

 小澤征爾総監督のもと長野県松本市で毎夏開催されている『サイトウ・キネン・フェスティバル 松本』が、2015年から『セイジ・オザワ 松本フェスティバル(英語表記:Seiji Ozawa Matsumoto Festival)』に名称変更する。8月4日、日本外国特派員協会での記者会見で明らかになった。サイトウ・キネン・オーケストラの名称は2015年以降も継続する。

 小澤征爾ら世界的な音楽家を育てた故・齋藤秀雄の没後10年にあたる1984年、小澤の呼びかけで世界中で活躍する門下生およそ100名が一堂に集い、メモリアルコンサートを行った。そこで生まれたのがサイトウ・キネン・オーケストラだ。その後、小澤征爾総監督のもと、サイトウ・キネン・オーケストラを母体とし、オーケストラとオペラを2本の柱とする音楽祭『サイトウ・キネン・フェスティバル 松本』が1992年9月に始まった。

 名称変更について神澤睦雄 サイトウ・キネン・フェスティバル 松本実行委員長は「23回目となる2014年は、齋藤秀雄さんの没後40年、サイトウ・キネン・オーケストラ結成30周年の記念すべき年となります。また、小澤征爾さんが来年9月で80歳を迎えられる。この23年間は齋藤先生の教えや信念を大事にして続けてこられた。齋藤先生を念頭に継承してきたのが小澤総監督。節目の年であり、小澤さんがサイトウ・キネン・オーケストラの名を世界に広めて定着していただいた、その功績からも小澤征爾さんの名前を冠にした音楽祭にしたいと打診し、快諾いただいた」と説明。

 これをうけて小澤は「ボストン交響楽団の音楽監督をしていたときに、タングルウッドに新しいホールが造られて『セイジ・オザワ・ホール』にすると言われた。自分の名前が建物につくと、なんだかお墓のようなイメージがあってイヤだと言った」と語り会場をわかし、続けて「あれから20年ほどたって大病もし、今回自分の名前を音楽祭の名称につけるのを引き受けたのはどういうことだろう?とも思う。でも、感謝もしている。その後、『小澤征爾音楽塾』『小澤国際室内楽アカデミー奥志賀』『小澤征爾インターナショナルアカデミースイス』など、徐々に自分の名前がつくようになって、それに慣れたのもあるけれども、ああ、そういう時が来たんだな、と思った」と語った。

 また、自身の名を冠した音楽祭を今後どのように育て、継承していくかとの質問には次のように答えた。
「音楽祭をこのあとどうしていくか、ということについては、ずっと考えている。これはサイトウ・キネン・フェスティバル 松本が始まった当初から考えている。自分の頭のなかには構想はあるけれども、今は言えない」

 今年はオーケストラ公演のみの指揮となった小澤だが、2015年はベルリオーズのオペラ《ベアトリスとベネディクト》を指揮する予定だという。

 今年のサイトウ・キネン・フェスティバル 松本は、8月10日(日)から9月6日(土)まで開催され、小澤はオーケストラコンサートを指揮するほか、サイトウ・キネン・フェスティバル松本Gigでマーカス・ロバーツ・トリオと共演する。オペラ《ファルスタッフ》はファビオ・ルイージが指揮する。

(Photo:M.Terashi/TokyoMDE)

サイトウ・キネン・フェスティバル松本
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