transit Vol.15 クァルテット・インテグラ(弦楽四重奏)

新世代の筆頭クァルテットの実力を聴く

左より:山本一輝、三澤響果、菊野凛太郎、築地杏里

 この10年ほどを振り返ると、若手の室内楽団体の活躍が目立つ。たとえば2008年にARDミュンヘン国際音楽コンクール弦楽四重奏部門で東京クヮルテット以来38年振りに入賞したウェールズ弦楽四重奏団、同じくミュンヘン国際で2016年に入賞したカルテット・アマービレなどがその代表格だが、より若い世代の弦楽四重奏団にも魅力的な団体がある。そのひとつがクァルテット・インテグラだ。

 彼らは2015年、桐朋学園在学中に結成され、その一体性を持った演奏や音楽に向き合う姿勢が評価されて、元東京クヮルテットのメンバーである磯村和英により「インテグラ(イタリア語で統合などの意味を持つ)」と名付けられた。現在はサントリーホール室内楽アカデミーの第6期で研鑽を積んでいるが、2021年秋にはハンガリーで行われたバルトーク国際コンクールで第1位を受賞するなど、世界的な評価も獲得している注目の団体だ。

 そのクァルテット・インテグラが王子ホールの「transit Vol.15」に登場する。これは未来の才能を広く紹介するシリーズで、多くの若手奏者が登場してきた。クァルテット・インテグラはベートーヴェン「弦楽四重奏曲第6番」、リゲティ「弦楽四重奏曲第2番」、ドビュッシー「弦楽四重奏曲」をプログラムに選んだが、古典から現代までの幅広い時代に対応する能力、そして鋭い感性によって繰り広げられる彼らの演奏は、新時代の到来を告げるものになるだろう。音楽ファン必聴のコンサートだ。
文:片桐卓也
(ぶらあぼ2022年5月号より)

2022.7/2(土)14:00 王子ホール
問:王子ホールチケットセンター03-3567-9990 
https://www.ojihall.jp