深淵極めるクァルテットによるキング・クリムゾンが炸裂!
国内の四重奏団の中でも屈指の熱い活動で異彩を放つモルゴーア・クァルテット。彼らの最強レパートリーといえばショスタコーヴィチとプログレッシヴ・ロック。昨年11月にエマーソン・レイク&パーマー「タルカス」で横須賀に出現した4人が、5月にはキング・クリムゾンを引っさげて豊田市に現れる。しかも、弦楽四重奏というジャンルを作り上げたハイドン、その表現の極北に到達したショスタコーヴィチも併せて演奏され、クァルテットの深淵までも体験できるステージになる。
まず、ハイドンはop.74-3「騎士」。弦楽四重奏の表現力を一気に深めた重要作で、緊張感ある快速楽章に加えて、格別な深みをもつ緩徐楽章は白眉となる。続いて、ショスタコーヴィチは第6番。作曲者自身が束の間の幸福を味わっていた時期の作品で、彼の作品としては異例なほどの明快な楽しさにあふれるが、謎めいた響きも随所に差し込まれていて、これも独特の魅力をもつ一曲である。
そして、後半はキング・クリムゾン特集! 昨秋に来日公演を実現したキング・クリムゾンの「レッド」「平和〜堕落天使」「スターレス」「21世紀のスキッツォイド・マン」が、モルゴーアの最高にホットなプレイで甦る。4人が一体となった演奏の無類の力強さは言うまでもないが、先の「タルカス」では第1ヴァイオリン荒井英治の超絶パフォーマンスが炸裂しており、クリムゾンでは荒井を中心にさらなるクレイジーな展開が予想される。豊田市でその熱狂を目撃せよ!
文:林昌英
(ぶらあぼ2022年5月号より)
2022.5/21(土)15:00 豊田市コンサートホール
問:豊田市コンサートホール・能楽堂事務室0565-35-8200
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