多角的に音楽を学び、感性を育むアカデミーを創設
日本を代表するフランス音楽のスペシャリストであるピアニストの中井正子。自身の演奏活動はもとより、教育活動にも力を注ぎ、多くの才能を育ててきた。そんな彼女が、今年「中井正子 日仏ピアノアカデミー」をスタートさせた。中井と彼女の弟子など総勢18名を中心として、多様なコンサートやマスタークラス、公開講座などを通して質の高い音楽と教育を提供していくものである。
「以前から門下生たちと一緒に開催していたリサイタルや公開講座をより継続的に、幅広い形で行うために、 “アカデミー”という形に発展させていくことになりました」
アカデミーでは現在会員を募集している。指導者や学習者、一般リスナー、様々なニーズに向けて会員種別が設けられているのが特徴で、講座やコンサート、公開レッスン等の主催行事に割引価格で参加することも可能だ。
「もちろん主要メンバーによるリサイタルやコンサート、講座は公開のイベントなので、会員でなくてもご来場可能です。ただ、会員の方は、動画配信をお申し込みいただけますので、後日公開レッスンや講座、コンサートを繰り返しご覧いただくことで、さらに理解を深められるようになっています」
また、アカデミーは教育だけではない。中井の音楽を継承し、幅広い見識と音楽性をもち、指導のスペシャリストでもある主要メンバーによるリサイタル、2台ピアノや連弾のコンサートも定期的に開催。アカデミーの目指す音楽家の在り方を感じる場となるだろう。さらにソルフェージュや和声、音楽史など多角的な学びを可能とする幅広い講座も魅力的だ。直近では東京藝術大学作曲科教授の小鍛冶邦隆による教養講座「ピアノ学習者・指導者のための音楽史の知識と実例」がある。
「ソルフェージュは音楽を理解するための手引きとなるものですし、いろいろな時代の楽曲を演奏、指導する上で歴史的な背景や奏法をしっかりと知ることも大切です。今回の音楽史の講座では、バロックから現代まで扱いますので、できれば全部の回を受講して、理解を深めていただきたいです。今後、さらにさまざまな講座を開講していく予定です」
さらに、今年の冬には「ツェルニー100番」練習曲を課題とした学習者向けのコンクールも予定しており、直接その場で中井や他の審査員からアドバイスを受けられるという。ピアノを“弾く”だけではない、幅広い見識を備えた音楽家になるための学びのチャンスに恵まれた「中井正子 日仏ピアノアカデミー」は、今後の音楽界に新しい光を与えてくれそうだ。
取材・文:長井進之介
(ぶらあぼ2022年4月号より)
〈中井正子 日仏ピアノアカデミー〉
ピアノ公開レッスン
2022.4/10(日)16:30 タカギクラヴィア松濤サロン
小鍛冶邦隆 教養講座 第1回
3/20(日)10:00 カーサ・モーツァルト
神原颯大ピアノリサイタル
5/29(日)14:00 新宿文化センター(小)
辻田祐希&見崎清水ジョイント・ピアノリサイタル
6/11(土)14:00 かつしかシンフォニーヒルズ アイリスホール
問:中井正子 日仏ピアノアカデミー050-5217-5619
https://nakaim-p-academie.wixsite.com/nmp-academie/
※その他アカデミーの日程詳細については上記ウェブサイトをご覧ください。