小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクト《こうもり》リハーサル進行中!

 小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトは、開幕を3月18日に控え、今年の演目《こうもり》のリハーサルが着々と進んでいる。

Photo: I.Sugimura/Bravo

 日本を代表するベテランの演奏家たちが講師を務め、現役の学生や演奏活動を始めて間もない若手音楽家たちとじっくり向き合い、時間をかけてオペラの土台を形作るオーケストラの音楽を作っていく教育プロジェクト。メンバーたちは、9日に東京から京都に移動し、10日から会場であるロームシアター京都で、歌手陣とオーケストラ合同のリハーサルが進められる。

 編集部がリハーサルに訪れた3月7日には、桐朋学園大学内の練習場で、オーケストラによる第2幕のトゥッティの練習(3日目)がおこなわれていた。指揮は、小澤の信頼も厚いベネズエラ出身のディエゴ・マテウス。自身も、先輩ドゥダメルと同じく、エル・システマで音楽を学んだ。《こうもり》には、ワルツやポルカなど舞曲がふんだんに盛り込まれ、その軽妙洒脱な雰囲気が魅力のオペレッタだけに、演奏する側にとっては、スタッカートのニュアンス、微妙なテンポ感の変化やタイミングなど、センスが問われる難しい作品でもある。

 わずかなニュアンスの違いを指摘しつつ、テキパキと練習を進めていくマテウス。そして、長年このプロジェクトに携わっている、川本嘉子(ヴィオラ)、原田禎夫(チェロ)、宮本文昭(オーボエ)、山本正治(クラリネット)、工藤重典(フルート)といった錚々たる顔ぶれが、オーケストラの各パートの脇に陣取り、細かくアドバイスをしていく。「失敗を恐れず思い切って表現しよう」と呼びかける先生の熱気に押されつつ、オーケストラメンバーたちの奮闘が続く。

 並行して、アドリアン・エレート、エリー・ディーンら無事来日を果たした歌手陣の稽古も進んでいる。たっぷりと時間をかけてリハーサルを重ねた塾生たちが、世界の第一線で活躍する歌手や演出家とともに創り上げる舞台を見届けたい。

 演出のデイヴィッド・ニースから、メッセージが届いた。

デイヴィッド・ニースより
小澤征爾音楽塾に向けてのメッセージ




©大窪道治/2022 Seiji Ozawa Music Academy
私にとって、小澤征爾音楽塾が持つ“魔法”は、塾長であり、素晴らしい創造力の持ち主である小澤征爾から来るパワフルなインスピレーションです。音楽塾のすべては、セイジが持つ音楽と芸術に対する圧倒的な献身に根付いています。セイジは常にクラシック音楽を勉強し続けています。だからこそ我々も、偉大な音楽家たちが残してくれた作品の演奏や解釈を完璧なものにしようと、探求し続けるのです。

音楽塾のすべての活動は、音楽の真理に近づくためにやっています。塾の講師たちは細心の注意を払い、実力のある若手演奏家たちをリハーサルを通して指導します。経験を積んだ指揮者も、マエストロ・オザワの指揮や指導からインスピレーションを得ます。素晴らしく才能にあふれる歌手たちも、マエストロから役について学びます。そして演出家である私は、40年以上、少なくとも50以上の作品にわたってセイジと共に仕事をしてきました。私たちが一緒に創造してきた芸術の美は、すべてマエストロによるものです。

今年、私は再度「こうもり」の演出を手掛けます。すべての知識と経験を総動員して、新たな参加者(演奏家、歌手、合唱、ダンサー、役者たち)に新鮮なインスピレーションを与えられるようにしたいです。そして、また新しい美の境地にたどり着き、J.シュトラウスII世の傑作を皆様にお届けできるようにしたいです。これこそ、セイジが我々を鼓舞し、背中を押してきてくれたことなのです。さらに高いレベルの芸術家になるように、常に勉強し、好奇心を絶やさず、音楽に身を捧げることこそ、音楽塾の姿なのです。

【Information】
小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトXVIII
J.シュトラウスII世:喜歌劇「こうもり」[全3幕]〈原語(ドイツ語)上演/字幕付〉

◎京都公演
2022.3/18(金)18:30
2022.3/20(日)15:00
ロームシアター京都 メインホール
◎東京公演
2022.3/24(木)15:00
東京文化会館 大ホール
◎横須賀公演
2022.3/27(日)15:00
よこすか芸術劇場

出演
ロザリンデ:エリー・ディーン
ガブリエル・フォン・アイゼンシュタイン:アドリアン・エレート
アデーレ:アナ・クリスティー
アルフレート:ジョン・テシエ
オルロフスキー公:エミリー・フォンズ
ファルケ博士:エリオット・マドア
フランク:デール・トラヴィス
ブリント博士:ジャン=ポール・フーシェクール
イーダ:栗林瑛利子
フロッシュ:イッセー尾形

音楽監督:小澤征爾
指揮:ディエゴ・マテウス
演出:デイヴィッド・ニース
装置:ギュンター・シュナイダー=シームセン
衣裳:ピーター・J・ホール
照明:高沢立生
振付:マーカス・バグラー
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管弦楽:小澤征爾音楽塾オーケストラ
合唱:小澤征爾音楽塾合唱団(合唱指揮:根本卓也)
バレエ:東京シティ・バレエ団