東京オペラシティ B→C 中舘壮志(クラリネット)

古典から20世紀まで、時代を色濃く反映した作品群を集めて

(c)Ayane Shindo

 クラリネットの中舘壮志が10月の東京オペラシティ「B→C」に登場する。2016年日本管打楽器、18年日本音楽両コンクールの覇者で、現在新日本フィル副首席の若き実力者。その意欲的な選曲が目を引く。

 第2次大戦中に収容所で初演されたメシアンの傑作「世の終わりのための四重奏曲」から〈鳥たちの深淵〉。その絶望と対比させた、メシアンと同世代のフランセ「主題と変奏」(1974)は、洗練と遊び心に溢れる。すでに名手たちのレパートリーとなっているヴィトマン「幻想曲」(1993)は、あらゆる特殊奏法と超絶技巧が組み込まれ、ダンスのようなノリも。中舘の炸裂する技巧、キレ味良い演奏に注目だ。

 そして、古典派ドヴィエンヌの名曲「ソナタ第1番」、無伴奏フルート用からの編曲でバッハ「パルティータ ト短調」。ヒルボリ作品とともに初挑戦のドレーゼケ「ソナタ」は、クラリネットの音色が活きる壮大な作品。大戦後忘れ去られていた新ドイツ楽派の名曲の復活も嬉しい。ピアノ共演は小澤佳永。
文:柴辻純子
(ぶらあぼ2021年10月号より)

2021.10/19(火)19:00 東京オペラシティ リサイタルホール
問:東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999 
https://www.operacity.jp