ゲルハルト・オピッツ ピアノ・リサイタル

ドイツ・ピアノ界の正統派が綴る90年のとき

(c)HT/PCM

 西ドイツ(当時)のバイエルン生まれ、19歳でヴィルヘルム・ケンプに師事し、24歳でルービンシュタイン国際ピアノコンクールに優勝。ドイツの正統的なピアニズムをいまに伝える稀有な存在として知られる、ゲルハルト・オピッツ。

 今年は、ソロはもちろん室内楽からコンチェルトまで、ドイツものを中心とした多彩な演目で全国ツアーを行う。なかでも東京オペラシティ公演で取り上げるのは、モーツァルトからムソルグスキーまで、“90年という時間を振り返る”リサイタル・プログラムだ。

 まずは、オピッツが二つで一つの作品だという、モーツァルトの幻想曲K.475とピアノ・ソナタK.457。同じ頃にともにハ短調で書かれた、モーツァルトの内面を映し出すような音楽で幕を開ける。そこから続いて、ベートーヴェンの「『プロメテウスの創造物』の主題による15の変奏曲とフーガ」へ。19世紀に入って社会が変化する中で書かれた、堂々たる明るい光を放つような通称「エロイカ変奏曲」から、前向きなエネルギーを受け取ることができるだろう。

 そして時はロマン派へと移り、ムソルグスキーの「展覧会の絵」で、ロシア音楽のスケールの大きな世界を届ける。オピッツの骨太で的確なピアノは、野趣ただようドラマティックなこの作品を、どんなふうに描きあげるのだろうか。

 それぞれの作曲家ならではの音楽づくりの違い、音楽言語の特徴が、名手の腕でありありと示される演奏会となりそうだ。
文:高坂はる香
(ぶらあぼ2021年10月号より)

ゲルハルト・オピッツ ピアノ・リサイタル“展覧会の絵”
2021.12/14(火)19:00 東京オペラシティ コンサートホール 
9/21(火)発売


他公演
音楽堂ヘリテージ・コンサート ベートーヴェン4大ソナタを聴く
2021.12/24(金)19:00 神奈川県立音楽堂 
9/21(火)発売

愛知室内オーケストラ 特別演奏会 ベートーヴェン ピアノ協奏曲 全曲演奏会
12/27(月)、12/28(火)各日19:00 紀尾井ホール 
9/27(月)発売

問:パシフィック・コンサート・マネジメント03-3552-3831 
http://www.pacific-concert.co.jp
※公演によりプログラムは異なります。日本ツアーの詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。