おと と おと と vol.14 〜大沼 徹 シューベルトの世界〜

ドイツ歌曲のスペシャリストたちが紡ぐ「冬の旅」

 主に声楽の共演ピアニストとして活躍する朴令鈴が企画構成を手がける「おと と おと と」シリーズ。バリトンの大沼徹はこのシリーズで「冬の旅」「美しき水車小屋の娘」「白鳥の歌」というシューベルト三大歌曲集を披露し、それぞれ高い評価を受けてきた。そんな大沼と朴が、2013年以来8年の時を経て再び「冬の旅」に挑む。

 大沼は、これまで二期会を代表するバリトンとして多くの舞台で重要な役を演じており、特に今年2月の《タンホイザー》ヴォルフラムの好演は記憶に新しい。舞台を重ねるごとに持ち前の美声をコントロールするテクニックが飛躍的に向上。また近年はオペレッタなどでも見事な演技力を披露している。デビュー当時からオペラだけでなくドイツリートにも力を注いできた大沼だけに、オペラ歌手としての経験がこの分野にも活かされていることは言を俟たない。だからこそ、二度目の「冬の旅」で彼がどんな世界を紡ぎ出してくれるのか、楽しみでならない。
文:室田尚子
(ぶらあぼ2021年10月号より)

2021.9/28(火)19:00 Hakuju Hall
問:ビーフラット・ミュージックプロデュース03-6908-8977 
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