サイトウ・キネン・オーケストラと初共演の鈴木雅明さんにインタビュー

モダンでもピリオド楽器でも、基本的なスタンスは変わらない

この夏開催の「セイジ・オザワ松本フェスティバル(OMF)」。まったくタイプの異なる二人の指揮者、シャルル・デュトワと鈴木雅明のW初登場という先日の発表に驚かれた方も多いと思います。一昨日、鈴木さんに、サイトウ・キネン・オーケストラ(SKO)との初共演への期待をうかがいました。

バッハ・コレギウム・ジャパンを創設し、チェンバロ&オルガン奏者としても古楽のスペシャリストというイメージの強い鈴木さんですが、モダン・オケを頻繁に振り始めたのは2009年頃から。当初は海外のオケとの共演が多かったものの、近年は国内での登壇機会も急増しています。(コロナ前は、世界・日本各地を飛びまわり、なんと「一年に180泊くらいしていた」とか!)

Masaaki Suzuki

「普通のシンフォニー・オーケストラを振るほうがラクなんですよ」と意外な一言も。モダン・オーケストラのほうがゲスト・コンダクターを迎えることに慣れており、どんなスタイルの指揮者が来ても対応できる瞬発力があるのに対し、ピリオド楽器のオーケストラのほうがグループによってスタイルが固定されていて難しいケースもあると語ります。

でも、音楽づくりにおいては「モダン・オケでもピリオド楽器のオーケストラでも、基本的なスタンスは変わらない」と言い切ります。「様式というのは人間に属しているもの。古楽器だとかなんとか、カテゴライズはしたくない!」ということばが印象的でした。

SKOについては、「コンサートマスターばかりが弾いているようなスーパー・オーケストラ」という印象だそうですが、メンバーにも既知の人が多く、「やってみないとわからない」と言いつつもイメージはある程度できあがっているようです。「子どもの頃からしょっちゅう教会の結婚式で〈結婚行進曲〉をオルガンで弾かされていた(笑)」という馴染み深いメンデルスゾーン「夏の夜の夢」、そして、「シンプルな旋律ながら緻密な構成が素晴らしい」と分析するシベリウスの交響曲第2番など、クラシックファンにとっても堪えられないプログラムで、百戦錬磨のSKOのポテンシャルをさらに引き出してくれそうです。

インタビューの詳しい内容は、ぶらあぼ8月号に掲載予定。どうぞお楽しみに!

*新型コロナウイルス感染状況を踏まえ、「2021セイジ・オザワ 松本フェスティバル」は全ての公演が開催中止となりました。(8/24主催者発表)
詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。

Information
セイジ・オザワ松本フェスティバル(OMF)
〈Aプログラム〉
8月28日(土) 17:00
8月29日(日) 15:00
演奏:サイトウ・キネン・オーケストラ
指揮:鈴木雅明
会場:キッセイ文化ホール(長野県松本文化会館
※Aプログラムは、28日と29日で演目が異なります。
【8月28日】
●モーツァルト:オペラ《ドン・ジョヴァンニ》K527 序曲
●モーツァルト:交響曲第29番 イ長調 K201 (186a)
●シベリウス:交響曲第2番 ニ長調 作品43
【8月29日】
●メンデルスゾーン:《夏の夜の夢》作品61より
 I. 序曲:アレグロ・ディ・モルト
 II. (第1曲)スケルツォ:アレグロ・ヴィヴァーチェ
 III.(第5曲)アレグロ・アパッショナート
 IV.(第7曲)夜想曲:アンダンテ・トランクィロ 
 V. (第9曲)結婚行進曲:アレグロ・ヴィヴァーチェ
 VI. (第10曲)葬送行進曲:アンダンテ・コモド
 VII. (第11曲)道化師たちの踊り:アレグロ・ディ・モルト
 VIII. (第12曲)フィナーレ:アレグロ・ディ・モルト
●シベリウス:交響曲第2番 ニ長調 作品43

https://www.ozawa-festival.com