びわ湖ホール&沼尻竜典、広島交響楽団が第51回ENEOS音楽賞を受賞

1971年に創設された「ENEOS音楽賞」の第51回「洋楽部門本賞」受賞者に滋賀県立芸術劇場びわ湖ホールと同ホールの芸術監督を務める指揮者・沼尻竜典、「洋楽部門奨励賞」受賞者に広島交響楽団、「邦楽部門」受賞者に清元美寿太夫が決定した。同賞はENEOSホールディングス株式会社が、わが国の音楽文化の発展に大きな業績をあげた個人または団体を顕彰する歴史のある賞。表彰式は11月19日に開催され、トロフィーと賞金200万円が贈呈される。

左:沼尻竜典 右:滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール (c)荒谷良一

びわ湖ホールは開館以来、大型オペラの上演や全国からアーティストが集う「近江の春 びわ湖クラシック音楽祭」の開催、指揮者セミナーやオペラ講座など独自の自主企画を展開してきた。2007年より沼尻竜典が芸術監督に就任し、「プロデュースオペラ」「沼尻竜典オペラセレクション」など数々の公演を手がけている。コロナ禍の20年にはいち早くライブ配信にも挑戦し、沼尻指揮によるワーグナーの楽劇《神々の黄昏》の無観客ライブ配信映像は、大きな反響を呼んだ。公共ホールとしては、初めての受賞となる。

広島交響楽団

広島交響楽団は1963年に発足。「Music for Peace ~音楽で平和を」を旗印とし、平和貢献や地域に根ざした活動を軸に演奏活動を展開している。2017年には音楽総監督に下野竜也が就任。14年ぶりの海外公演となった、2019年の「ショパンと彼のヨーロッパ」国際音楽祭(ワルシャワ)でのマルタ・アルゲリッチ(楽団の平和音楽大使を務める)との共演など、その存在感は国内外で増している。

【受賞理由】

洋楽部門本賞 滋賀県立芸術劇場びわ湖ホールと沼尻竜典
1998年に「創造する劇場」との看板を掲げて設立された「びわ湖ホール」は、芸術諸分野でまさに創造的な活動を展開し、都市圏の劇場にも増して傑出した存在感を示し続けてきた。特に音楽分野では、専属の「びわ湖ホール声楽アンサンブル」の活動や、初代芸術監督・若杉弘のもと、ヴェルディ日本初演作品シリーズで大きな成果を上げ、つづく第2代の沼尻竜典のもとでも、「リング」全曲などのワーグナーや、近現代のオペラ作品の上演で圧倒的な成功を成し遂げ、今や我が国のオペラ制作や上演において欠くべからざる存在となっている。活動を成功に導いたホールの充実した運営や制作力、ここ10数年、芸術的に牽引した沼尻竜典の秀でた能力を顕彰し、さらなる充実を期待して本賞を贈賞する。

洋楽部門奨励賞 広島交響楽団
広島交響楽団の近年の進展ぶりは目覚ましい。2017年以降、新設した「音楽総監督」に下野竜也を迎え、秋山和慶体制で培ったアンサンブル能力をさらに向上させた。また「ディスカバリー・シリーズ」も継承・発展させ、演奏機会の希少な作品をトークを交えて紹介、聴衆の関心領野は格段に拡がっている。加えて同年より実施した「Music for Peace プロジェクト」を特筆したい。マルタ・アルゲリッチを筆頭に世界的アーティストが演奏会および講習会に参加し、2019年には楽団のワルシャワ公演が実現。原子爆弾被爆75年の2020年には、コロナ禍に直面しつつも被爆ピアノを用いた藤倉大の新作協奏曲「Akiko’s Piano」の世界初演を敢行した。地域に、そして世界に密着しながら音楽性を高めてゆく姿勢を支持し、奨励賞を贈る。

びわ湖ホール
https://www.biwako-hall.or.jp

広島交響楽団
http://hirokyo.or.jp

ENEOS音楽賞
https://www.hd.eneos.co.jp/csr/child_reward/