第160回 リクライニング・コンサート 加耒 徹 バリトン・リサイタル

バリトンの魅力が詰まった至福の時間を味わう

(C)Hiroki Watanabe

 Hakuju Hallのリクライニング・コンサートに、明るく響く清潔な声とスタイリッシュな容姿で人気のバリトン加耒徹が登場する。オペラからコンサート、バッハの宗教曲からミュージカル・ナンバーまで、どんなジャンルも自然に歌いこなすセンスを備えた優れた音楽家だ。

   今回は歌曲プログラム。言葉の解釈と扱い、演劇性と声楽的なコントロールのバランスなど、細部まで聴きどころ満載のジャンル。現時点で明らかにされている曲目は、ヴォーン・ウィリアムズの〈リンデン・リー〉、ブリテン編曲の〈グリーンスリーヴス〉、シューマン〈二人の擲弾兵〉だけだが、これを見るだけでもありふれた歌曲リサイタルではなさそうな予感が濃厚に漂う。「眠ってもいいですよ」という画期的なコンセプトのリクライニング・コンサートだが、寝ている場合ではないだろう。

  すでに500曲超を共演してきたというピアノの松岡あさひとともに、至福の1時間を堪能させてくれるにちがいない。
文:宮本 明
(ぶらあぼ2021年6月号より)

2021.7/14(水)15:00 19:30 Hakuju Hall
問:Hakuju Hallチケットセンター03-5478-8700 
https://www.hakujuhall.jp