
2028年度から都響の首席指揮者を務めるフィンランドのペッカ・クーシスト。首席指揮者就任に先立って、2026年度からの2年間はアーティスト・イン・レジデンスの立場で、指揮者およびヴァイオリニストとして都響とのコラボレーションを行う。この6月の公演は「アーティスト・イン・レジデンス就任記念」と銘打たれ、クーシストならではの北欧音楽プログラムが組まれた。
19日の定期Bシリーズ、および20日の都響スペシャルの曲はシベリウスの組曲「恋人」、アンデシュ・ヒルボリの「バッハ・マテリア」(日本初演)、アンドレア・タッローディ「きりん座」(日本初演)、シベリウスの交響曲第5番。日本初演を2曲含んだ意欲的なプログラムだ。「恋人」と「バッハ・マテリア」はクーシストの弾き振りとなる。
アンデシュ・ヒルボリは現代のスウェーデンを代表する作曲家のひとり。「バッハ・マテリア」は、バッハのブランデンブルク協奏曲第3番が着想源となっている。バロック時代のコンチェルトを解体・再構築したような機知に富んだ作品。アンドレア・タッローディも同じく現代のスウェーデンの作曲家である。父親は作曲家およびトロンボーン奏者として有名なクリスティアン・リンドベルイ。「きりん座」はキリンを飼っているユーモラスな夢を見たことをきっかけに書かれたという幻想味あふれる作品だ。
シベリウスはフィンランドの指揮者にとって欠かすことのできないレパートリーだろう。雄大な生命賛歌とも言うべき交響曲第5番で、クーシストと都響の間にどんな化学反応が起こるだろうか。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2026年6月号より)
ペッカ・クーシスト(指揮/ヴァイオリン) 東京都交響楽団
第1046回 定期演奏会 Bシリーズ
2026.6/19(金)19:00
都響スペシャル
2026.6/20(土)14:00
サントリーホール
問:都響ガイド 0570-056-057
https://www.tmso.or.jp

飯尾洋一 Yoichi Iio
音楽ジャーナリスト。著書に『クラシックBOOK この一冊で読んで聴いて10倍楽しめる!』新装版(三笠書房)、『クラシック音楽のトリセツ』(SB新書)、『マンガで教養 やさしいクラシック』監修(朝日新聞出版)他。音楽誌やプログラムノートに寄稿するほか、テレビ朝日「題名のない音楽会」音楽アドバイザーなど、放送の分野でも活動する。ブログ発信中 https://www.classicajapan.com/wn/
