鈴木雅明&BCJで幕開け──
杜のホールはしもと25周年を彩るモーツァルト

左:鈴木雅明 ©Marco Borggreve
右:安川みく ©CMR-Photography

 杜のホールはしもとが開館25周年を迎える。一貫して相模原市民文化財団(現在は公益財団法人)が運営し、地域に根差した活動と「シリーズ杜の響き」など独自企画の演奏会で存在感を示してきた。昨年始まった音楽学者・広瀬大介氏監修による「うたシリーズ ドイツ歌曲の森」や、鑑賞マナーを緩和し幅広い層の聴き手に楽しんでもらおうという「リラックスパフォーマンス」など、意欲的な企画が目白押しだ。財団スタッフの献身的な努力と市の理解に敬意を表し、さらなる発展を祈りたい。

 さて、開館25周年を寿ぐ「シリーズ杜の響き」第55回は、バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)。ホールより10年「先輩」、昨年創立35周年を迎えたBCJは、同シリーズ第50回に鈴木優人指揮で初登場しバロック・プログラムを披露したが、今回は鈴木雅明指揮でオール・モーツァルト。ここでしか聴けないプログラムだ。バロック語法に精通したBCJは近年、古典派以降のレパートリーに新鮮な解釈を聴かせているが、今回は「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」と交響曲第40番(初稿)の大名曲2曲が聴ける。そして活躍中のソプラノ安川みくがモーツァルト14歳時のコンサート・アリアと、祝いの演奏会にぴったりな〈踊れ、喜べ、幸いなる魂よ〉を歌う。

 なおこの公演から同ホールでは新たな開演チャイムが鳴り響く。今や日本を代表する作曲家・藤倉大への「委嘱作品」だ! ホールの新しい歴史とBCJの「新しいモーツァルト」の開幕にふさわしい。

文:矢澤孝樹

(ぶらあぼ2026年6月号より)

シリーズ杜の響きvol.55 バッハ・コレギウム・ジャパン
2026.7/11(土)14:00 ほねごり杜のホールはしもと
問:チケットMove 042-742-9999
https://hall-net.or.jp/02hashimoto/


矢澤孝樹 Takaki Yazawa

1969年山梨県塩山市(現・甲州市)生。慶應義塾大学文学部卒。水戸芸術館音楽部門主任学芸員を経て現在ニューロン製菓(株)及び(株)アンデ代表取締役社長。並行して音楽評論活動を行い、『レコード芸術online』『音楽の友』『モーストリークラシック』『ぶらあぼ』『CDジャーナル』にレギュラー執筆。朝日新聞クラシックCD評選者および執筆者。CD及び演奏会解説多数。著書に『マタイ受難曲』(音楽之友社)。ほか共著多数。