【SACD】ダンツァ/新倉瞳

 カメラータ・チューリッヒのソロ首席チェリストを務め、日欧で活躍する新倉瞳による、「踊り」をテーマとした小粋な名品集。幼少期から踊りにこだわってきたという彼女にとって、「舞曲」とは手先で弾くものではない。心も体も「踊りのグルーヴ」に乗りつつ、楽しくニュアンス豊かに、多国籍の作品群の魅力を描き分ける。節度あるノーブルな美音を保ちながら、ポッパー作品などでの技巧と熱気も十分。なにより楽曲の洋の東西を問わず、様式の違いをこえて通底するものにも気付かされて興味深い。「身体性」を見つめ直さざるを得なかった2020年夏の録音で、「舞曲」の本質を再発見する。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2021年1月号より)

【information】
SACD『ダンツァ/新倉瞳』

フォーレ:シシリエンヌ/チャイコフスキー:バレエ音楽「眠れる森の美女」より第6番ワルツ/サン=サーンス:死の舞踏/バルトーク:ルーマニア民俗舞曲/ポッパー:スペイン舞曲第2番セレナーデ、ハンガリアン・ラプソディ/アルベニス(クリストファーソン編):スペイン第2番タンゴ 他

新倉瞳(チェロ)
梅村百合(ピアノ)

アールアンフィニ(ソニー・ミュージックダイレクト/ミューズエンターテインメント)
MECO-1060 ¥3000+税