エリアフ・インバル(指揮) 東京都交響楽団

巨匠降臨、ワーグナーとブルックナーの豪演炸裂!

エリアフ・インバル
C)堀田力丸

 2021年1月、インバルがやって来る!
 新型コロナウイルスによる制限下、海外演奏家が来日できないことに多くの主催者が悩まされ続けた。しかし、晩秋からは単身での訪日がやっと実現しはじめ、なかでもポストをもつ名指揮者の来日実現は大いに話題となり、私たちを勇気づける光明ともなった。

 そして年明け、巨匠エリアフ・インバルが東京都交響楽団の都響スペシャルに登場する。期待に胸が膨らむとはこのこと。これほどの大家が2週間待機を受け入れての登壇ということで、楽団も聴衆も自ずと高揚感が高まる。

 当初予定されていた声楽付きの大編成演目は変更になったものの、代わりに選ばれたのはインバル得意のワーグナーとブルックナー。まさに僥倖。前者は《トリスタンとイゾルデ》より「前奏曲と愛の死」。何度も名演を聴かせてきた演目だが、世界的難局の中での本作冒頭は堪らない瞬間になるだろう。後者は交響曲第3番「ワーグナー」(ノヴァーク1873年初稿版)。インバルのブルックナーは質実剛健、厳しく引き締まった音響で巨大な世界を形成し、毎回聴衆を大きな感動に導く。さらに、第3番の初稿はワーグナーの引用が要所で大きく現れ(稿を重ねるごとに削られてしまう)、作曲者の意図が明確に伝わる魅力的な稿であり、初稿にこだわるインバルと彼の薫陶を長く受けてきた都響で聴けるとなれば、平時でも大注目だが、今回は特別さが際立つ。終演後の会場の興奮はいかばかりか。後に語り継がれていくであろう重要公演、万難を排して集うべし。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2021年1月号より)

都響スペシャル2021
2021.1/12(火)19:00 東京文化会館 
1/13(水)19:00 サントリーホール
問:都響ガイド0570-056-057 
https://www.tmso.or.jp