東京二期会《ダナエの愛》稽古場レポートvol.4

東京二期会が10月2日から舞台日本初演するR.シュトラウスのオペラ《ダナエの愛》。去る20日からはマエストロ 準・メルクルも合流しての稽古が進められています。
こちらでは22日に行われた小森輝彦&林正子組の通し稽古から第1幕の様子をご紹介します。
 (2015.9/22 都内稽古場 取材・文:編集部 Photo:M.Terashi/TokyoMDE)

左)準・メルクル、右)深作健太 Photo:M.Terashi/TokyoMDE
左)準・メルクル、右)深作健太
Photo:M.Terashi/TokyoMDE

まずは全体のあらすじのおさらいです。今回演出を担う深作健太さんのコンセプトに基づき、おおよそのストーリーがわかるようにまとめてみました。

【第1幕】
ポルクス王の地下墓所では、足枷をされた王妃ダナエがベッドの形をした母の墓のそばに幽閉されている。そこは、神話の世界というよりもクリムトが描こうとした世界。ただし、『ダナエ』ではなく『接吻』のほうが近い。
ベルリンのノイエ・ヴァッヘのような天窓があいており、明かりと黄金が降り注ぐ。母のおなかの中のような場所。

クリムト『ダナエ』 1907-1908年 Galerie Würthle(ウィーン)
クリムト『ダナエ』 1907-1908年
Galerie Würthle(ウィーン)

クリムト『接吻』 1907-1908年オーストリア・ギャラリー(ウィーン)
クリムト『接吻』
1907-1908年オーストリア・ギャラリー(ウィーン)

ベルリンのノイエ・ヴァッヘ内部
ベルリンのノイエ・ヴァッヘ内部

 
 借金まみれのポルクス王のところに債権者たちが取り立てにやってくる。ポルクス王は、全ての借金をミダス(触れるものすべてを黄金に変えられる)が払ってくれるだろうと言い残し立ち去る。ポルクスは4人の王、4人の王女(ゼメレ、オイローパ、アルクメーネ、レダ)たちにミダスを探しに行かせているのだ。

 一方、ダナエをものにしようとたくらむユピテル(=ジュピター=ゼウス。全能の神)は何にでも変身できる能力をもち、黄金の雨となってダナエと交わる。一瞬で恋に落ちるダナエ。「光り輝くものが降り注ぎ私を包み込む。待ち焦がれた黄金。救済の雨」

 ダナエの従者クサンテはその姿を見て戸惑う「それは夢なのです」

 そこに、4人の王、4人の王女(ゼメレ、オイローパ、アルクメーネ、レダ)たちがもどり、ミダスからの黄金が届けられる。

 続いて、使者に変装したミダスがやってくる。黄金を届けてくれるもの=ミダスと思っているダナエは、それがミダスでないことを知り落胆する。

 ダナエ「黄金を届けてくれる方のみが私の結婚相手」
 使者(じつはミダス)「王よりももっと多くのもの(つまり愛)を私は持っている」

 ダナエはまだ黄金の雨への憧れを口にし続ける。

 使者(じつはミダス)はダナエへの愛を語る。ミダスの語る愛に負けたダナエはミダスのもとへ行くことを決心する。

 と、ミダスに変装したユピテルが現れ求婚するが、ダナエは真実の愛を語った本物のミダスの愛の方を選ぶ。

債権者たちに取り囲まれるポルクス(村上公太)とダナエ(林正子) Photo:M.Terashi/TokyoMDE
債権者たちに取り囲まれるポルクス(村上公太)とダナエ(林正子)
Photo:M.Terashi/TokyoMDE
ユピテルの黄金の雨に戯れるダナエ(林正子) Photo:M.Terashi/TokyoMDE
ユピテルの黄金の雨に戯れるダナエ(林正子)
Photo:M.Terashi/TokyoMDE
ダナエ(林正子) Photo:M.Terashi/TokyoMDE
ダナエ(林正子)
Photo:M.Terashi/TokyoMDE
4人の王、前川健生、鹿野浩史、杉浦隆大、松井永太郎、4人の王女、ゼメレ 山口清子、オイローパ 澤村翔子、アルクメーネ 磯地美樹、レダ 与田朝子がミダスからの贈りものを持ち帰る Photo:M.Terashi/TokyoMDE
4人の王、前川健生、鹿野浩史、杉浦隆大、松井永太郎、4人の王女、ゼメレ 山口清子、オイローパ 澤村翔子、アルクメーネ 磯地美樹、レダ 与田朝子がミダスからの贈りものを持ち帰る
Photo:M.Terashi/TokyoMDE
使者を名乗るミダス(福井敬)とダナエ(林正子) Photo:M.Terashi/TokyoMDE
使者を名乗るミダス(福井敬)とダナエ(林正子)
Photo:M.Terashi/TokyoMDE
ユピテル(小森輝彦)が登場 Photo:M.Terashi/TokyoMDE
ユピテル(小森輝彦)が登場
Photo:M.Terashi/TokyoMDE

R.シュトラウス
オペラ《ダナエの愛》全3幕 <舞台上演日本初演>
日本語字幕付き原語(ドイツ語)上演

2015年10月2日(金) 18:30 3日(土) 14:00 4日(日) 14:00 東京文化会館 大ホール

指揮:準・メルクル
演出:深作健太
装置:松井るみ
衣裳:前田文子
照明:喜多村 貴

ユピテル 小森輝彦(10/2、4)大沼 徹(10/3)
メルクール 児玉和弘(10/2、4)糸賀修平(10/3)
ポルクス 村上公太(10/2、4)高田正人(10/3)
ダナエ 林 正子(10/2、4)佐々木典子(10/3)
クサンテ 平井香織(10/2、4)佐竹由美(10/3)
ミダス 福井 敬(10/2、4)菅野 敦(10/3)
ゼメレ 山口清子(10/2、4)北村さおり(10/3)
オイローパ 澤村翔子(10/2、4)江口順子(10/3)
アルクメーネ 磯地美樹(10/2、4)塩崎めぐみ(10/3)
レダ 与田朝子(10/2、4)石井 藍(10/3)
4人の王&4人の衛兵 前川健生(全日)鹿野浩史(全日)杉浦隆大(全日)松井永太郎(全日)

合唱: 二期会合唱団
管弦楽: 東京フィルハーモニー交響楽団

S13,500 A12,500 B10,000 C¥8,000 D¥6,000 学生席¥2,000
二期会チケットセンター
03-3796-1831 http://www.nikikai.net/

●東京二期会オペラ劇場《ダナエの愛》
http://www.nikikai.net/lineup/danae2015/

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深作健太(演出)インタビュー〜(ぶらあぼ + Danza inside2015年9月号から)