ロベール・ルパージュ 『針とアヘン—マイルス・デイヴィスとジャン・コクトーの幻影』

時空を超えて展開されるマジカルな内面劇

 

©Nicola Frank Vachon

©Nicola Frank Vachon

 超幻想的な舞台を生み出す「映像の魔術師」として名高いカナダ・ケベック出身の演出家ロベール・ルパージュ。日本のダンス・ファンには、バレエ界の女王シルヴィ・ギエムが演じた『エオンナガタ』(2011年来日)の変幻自在の舞台などが記憶に新しいかもしれない。このルパージュの作品の中から一人芝居シリーズを中心に上演してきた世田谷パブリックシアターが、今秋、代表作の『針とアヘン』を招聘するのが今話題となっている。
 初演は1991年、舞台と映像を融合させた“ルパージュ・マジック”の魅力を知らしめた記念碑的作品で、93年に来日。その後、最新の映像テクノロジーを駆使し、2013年に二人芝居として完全リニューアル。副題にあるように、ジャズ・トランペットの王者マイルス・デイヴィスとフランスの生んだ異才ジャン・コクトーという二人の天才をモティーフに、一人の男性の内面を多層的に描いたもので、失意のどん底でパリに到着した現代のカナダ人男性の脳裏にコクトーのアヘン依存とデイヴィスのヘロイン中毒(注射針)のイメージが駆け巡り、現代と1949年に活躍した二人の芸術家の世界を自由に行き来するという、想像しただけでワクワクするようなスペクタクルだ。
 世界を巡演し、各地で賞賛の嵐を巻き起こしての日本上陸。まだルパージュの舞台に接したことのない人はぜひ公演に足を運んでほしい。そこには魅惑のマジックの世界が広がっていることだろう。
文:渡辺真弓
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年8月号から) 

10/9(金)〜10/12(月・祝) 世田谷パブリックシアター
問:世田谷パブリックシアターチケットセンター03-5432-1515
http://setagaya-pt.jp

  • La Valseの最新記事もチェック

    • パーヴォ・ヤルヴィ(指揮)ロング・インタビュー Part2
      on 2019/12/06 at 01:43

      interview & text :小室敬幸 photos:野口 博 NHK交響楽団首席指揮者パーヴォ・ヤルヴィに話をうかがうロング・インタビュー。後半戦はN響とのレコーディングや、2020年2〜3月に控えたヨーロッパツアーについて、じっくりと語っていただく。 ── パーヴォさんの指揮するN響のCDのなかで、バルトークにとりわけ強い感銘を受けました。これまでに発売されたもののなかでは唯一、完全にロ [&#8230 […]