時空を超えて展開されるマジカルな内面劇

初演は1991年、舞台と映像を融合させた“ルパージュ・マジック”の魅力を知らしめた記念碑的作品で、93年に来日。その後、最新の映像テクノロジーを駆使し、2013年に二人芝居として完全リニューアル。副題にあるように、ジャズ・トランペットの王者マイルス・デイヴィスとフランスの生んだ異才ジャン・コクトーという二人の天才をモティーフに、一人の男性の内面を多層的に描いたもので、失意のどん底でパリに到着した現代のカナダ人男性の脳裏にコクトーのアヘン依存とデイヴィスのヘロイン中毒(注射針)のイメージが駆け巡り、現代と1949年に活躍した二人の芸術家の世界を自由に行き来するという、想像しただけでワクワクするようなスペクタクルだ。
世界を巡演し、各地で賞賛の嵐を巻き起こしての日本上陸。まだルパージュの舞台に接したことのない人はぜひ公演に足を運んでほしい。そこには魅惑のマジックの世界が広がっていることだろう。
文:渡辺真弓
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年8月号から)
10/9(金)〜10/12(月・祝) 世田谷パブリックシアター
問:世田谷パブリックシアターチケットセンター03-5432-1515
http://setagaya-pt.jp