
札幌交響楽団が10月18日、2026-27シーズン(26年4月~27年3月)の主催公演ラインナップを発表した。首席指揮者として2季目を迎えるエリアス・グランディを中心に、札幌コンサートホール Kitaraで開催される定期演奏会、平日夜の「hitaruシリーズ」、名曲コンサートなど全29公演を開催する。
グランディは1980年ミュンヘン生まれ。ドイツ人と日本人の両親を持つ。バイエルン放送響とコーミッシェ・オーパー・ベルリンのチェリストとして活動した後、ハイデルベルク歌劇場の音楽監督を23年までの8年間にわたって務めるなど、ドイツを拠点に実績を重ねてきた。近年はウィーン響、フランクフルト放送響に客演するなど活躍の幅を広げており、26年にはプラハ放送響の首席指揮者兼芸術監督への就任も予定されている。
新シーズンの定期演奏会には3回登場。注目はマーラーの交響曲第3番(5/30,5/31)と第4番(27.1/30,1/31)。これまでに「マーラー・プロジェクト」として第1番、第2番を取り上げており、その流れに続く形だ。第3番にはベルリン・フィルにも客演するドイツのゲルヒルト・ロンベルガー(コントラルト)、第4番にはイスラエルの気鋭 チェン・レイス(ソプラノ)をソリストに迎え、壮大なスケールのマーラーを描く。2月には第4番を携えてサントリーホールでの東京公演にも登場する(27.2/4)。
さらに、同楽団専属の札響合唱団の創立20周年を記念して演奏されるヴェルディのレクイエム(11/14,11/15)のほか、2026年が没後30年となる武満徹「ハウ・スロー・ザ・ウィンド」やベルク「7つの初期の歌」など、20世紀作品にも積極的に取り組む。


前首席指揮者のマティアス・バーメルトは、シューベルトの交響曲第5番とブルックナーの第4番「ロマンティック」を指揮(9/12,9/13)。任期最後の演奏会となった24年の東京公演で披露した第6番に続くブルックナー作品で、札響との円熟のサウンドを聴かせる。
来季から桂冠指揮者に就任する尾高忠明は、十八番のエルガー「エニグマ変奏曲」を振る(6/27,6/28)。2004年から11年間にわたり音楽監督を務めるなど札響の発展に貢献してきた尾高。楽団員の世代交代が進むオーケストラをどうリードするのか楽しみだ。
このほか、オール・チャイコフスキー・プログラムを指揮する広上淳一(4/18,4/19)、小曽根真と共演する川瀬賢太郎(10/17,10/18)、ショスタコーヴィチの交響曲第10番を振る下野竜也(12/5,12/6)など、現在ポストを持つマエストロたちが名を連ねる。
札幌文化芸術劇場 hitaruで行われる「hitaruシリーズ定期演奏会」は、日本人作曲家の作品を軸に据える。グランディが吉松隆「朱鷺によせる哀歌」を指揮するほか(9/2)、日本の若手指揮者の筆頭・沖澤のどかが林光「吹き抜ける夏風の祭り」を振る(8/5)。
さらに、没後20年を迎える北海道出身の作曲家・伊福部昭の「JONKARA」(世界初演)を指揮する川瀬(27.3/19)、久石譲「坂の上の雲」を取り上げる円光寺雅彦も登場する(4/30)。
「森の響フレンド名曲コンサート」では、藤岡幸夫指揮によるチャイコフスキーの交響曲第4番(5/23)、原田慶太楼×前橋汀子による「ツィゴイネルワイゼン」(11/21)、下野竜也がタクトをとる編曲作品集(10/4)、そして高関健「私の3大B」(ベートーヴェン、バーンスタイン、ブラームス)(27.2/13)など、親しみやすくも聴き応えあるプログラムが並ぶ。
創立65周年を迎える札響。欧州で活躍の幅を広げる若手実力派 グランディとの2年目も、ファンにとって見逃せない一年となりそうだ。
札幌交響楽団
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