クラシックと映像音楽の絢爛たるコンビネーション
燦々と輝くようなプログラムによる名曲コンサートだ。その輝きの源となるのは、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」。この楽聖の書いたもっとも華々しいピアノ協奏曲を奏でるのは、独奏の北村明日人、広上淳一の指揮による東京フィルハーモニー交響楽団だ。
北村は、4年半のスイス留学から帰国して東京藝大大学院を修了した俊英ピアニスト。2022年にピティナ・ピアノコンペティション特級グランプリを獲得するなど成長著しい。得意なレパートリーはドイツの作曲家で、その澄み切った響きで、色彩豊かなベートーヴェンを奏でてくれるだろう。
「モルダウ」も名曲コンサートの定番曲。今年生誕200年を迎えるスメタナの連作交響詩「わが祖国」の第2曲だ。川の流れに沿って、さまざまな情景が生き生きと描かれる。
コンサートのもう一つの柱として、映画やテレビの世界で親しみのある音楽が並ぶ。『ハリー・ポッターと賢者の石』の「ヘドウィグのテーマ」は、映画音楽の重鎮にして、90歳を超えなお指揮者としても活躍するジョン・ウィリアムズの作品だ。
大河ドラマのメインテーマ曲も登場する。『軍師官兵衛』(菅野祐悟)、『麒麟がくる』(ジョン・グラム)、『篤姫』(吉俣良)、『真田丸』(服部隆之)、『どうする家康』(稲本響)の5曲を演奏する。縁取りはっきりと描く広上、そして重厚にして華麗な響きをもつ東京フィルによって、ドラマの興奮を再び呼び起こしてくれるに違いない。
文:鈴木淳史
(ぶらあぼ2024年2月号より)
2024.2/17(土)15:00 かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール
問:かつしかシンフォニーヒルズ03-5670-2233
https://www.k-mil.gr.jp