新天地でみせる、さらなる躍進
愛知室内オーケストラ(ACO)が2024- 25シーズンの定期演奏会ラインナップを発表した。これまでの主会場、名古屋市の三井住友海上しらかわホールが24年2月末で閉館されることを受け、従来のAとBの2シリーズを愛知県芸術劇場 コンサートホール(名古屋市)、東海市芸術劇場の2ヵ所に分け、大胆なプログラミングに挑み、さらなる躍進を目指す。
名古屋では第75回定期(5/24)の指揮をウィーン・フィルの首席ファゴット奏者ソフィー・デルヴォーに委ねる一方、ファゴット独奏として別途、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管首席のアクセル・ブノワを招く。第76回(6/21)にはユベール・スダーンが再び登場。モーツァルトのヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲ではソロ・コンサートマスター兼アーティスティック・パートナーの小森谷巧、弦楽器アドヴァイザー兼首席客演奏者の川本嘉子が独奏を担う。第78回(8/30)は初代音楽監督の山下一史が就任以来継続して手がけるシューマンの交響曲から第3番「ライン」を指揮するほか、コンポーザー・イン・レジデンスの権代敦彦に委嘱した新作、チェンバロ協奏曲を名手マハン・エスファハニのソロで世界初演。さらに打楽器の首席客演奏者の安江佐和子がハチャトゥリアンのヴァイオリン協奏曲の独奏にマリンバで挑戦する。第82回(12/12)には、しらかわホールのブラームス交響曲全曲シリーズなどで成功を収め、2023年11月にACO首席客演指揮者兼アーティスティック・パートナー就任が発表された原田慶太楼が戻ってくる。
東海市では日本を代表するソプラノ歌手、名古屋音楽大学で後進の指導にも当たる森谷真理のシリーズを定期に組み入れる。そのVol.1、第79回定期(名古屋との通し番号、9/7)は山下が指揮。シューベルト、シェーンベルクとR.シュトラウスを組み合わせ、森谷はシュトラウスの「4つの最後の歌」を独唱する。注目の若手、太田弦が指揮する第83回(25.2/8)はザ・レヴ・サクソフォン・クヮルテット(上野耕平、宮越悠貴、都築惇、田中奏一朗)が世界初演する予定の「サクソフォン四重奏と管弦楽のための協奏曲」だけでも豪華なのに、モーツァルト「2台ピアノのための協奏曲」のソロに牛田智大、三浦謙司を投入する贅沢さ! 第85回(25.3/29)は山下念願の「モーツァルト・オペラ・コンチェルタンテ・シリーズ」Vol.1として、《コジ・ファン・トゥッテ》の演奏会形式上演。キャストは森谷がフィオルディリージ、鳥木弥生がドラベッラ、渡辺康がフェルランド、青山貴がグリエルモ、町英和がドン・アルフォンソ、向野由美子がデスピーナと、こちらも華やかな顔ぶれをそろえた。
文:池田卓夫
(ぶらあぼ2024年1月号より)
問:愛知室内オーケストラ052-211-9895
https://www.ac-orchestra.com
※2024-25シーズンの各プログラム、年間会員券、チケット発売情報などの詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。