自在なパフォーマンスで魅せるアーティスト集団来日!
35歳の若さで、パリ・オペラ座バレエ団の次期芸術監督に抜擢されて以来、バンジャマン・ミルピエの名はまたたく間に世界に広まった。その彼が2012年にロサンゼルスで設立した〈L.A. Dance Project〉が11月日本に初上陸する。ミルピエはフランスのボルドー生まれ。ニューヨーク・シティ・バレエ(NYCB)の元プリンシパルというより、映画『ブラック・スワン』の振付家で、主演女優のナタリー・ポートマンの夫君といった方がピンとくるだろうか。
まず<L.A. Dance Project>とはどのようなカンパニーなのだろうか。
「まさに”アーティスト集団”です。斬新でユニークな作品を生み出すことを目標に、プロジェクトごとに様々なジャンルのアーティストを募集し、常に新しいパフォーマンスを追求していく。それがカンパニーの目指す方向。そこには振付家から作曲家、ビジュアル・アーティスト、ファッション・デザイナーに至るまで、現代の最先端を走る才能が集まってきています」
ミルピエがダンサーたちに期待するのは、「クラシックからコンテンポラリーまでいかなるタイプの振付にも順応できること」。そして創作への尽きない情熱、これこそがこのカンパニーの強みになっているという。
今回上演されるのは、自身の振付による約40分の『リフレクションズ』(2013年)に、フランスを拠点に活動するエマニュエル・ガットの『モーガンズ・ラスト・チャグ』(13年)、鬼才ウィリアム・フォーサイス振付『クインテット』(1993年)の3作品。『クインテット』はフォーサイスにより再振付されたものだ。
自作『リフレクションズ』の魅力についてミルピエは次のように語る。
「ダンサーたちの高い芸術性を証明するのにこれほどふさわしい作品はないでしょう。作品が生まれたのはジュエリー・メゾンからオファーをもらったのがきっかけです。非常に有能なビジュアル・アーティストのバーバラ・クルーガーがこれまでになく素晴らしいセットを創ってくれました。デイヴィッド・ラングの音楽はダンサーたちに試行錯誤する機会をもたらし、ダンサーが創作に参加したシーンもいくつかあります」
アーティストたちのコラボレーションの成果が大きな見どころとなりそうだ。
今秋11月からパリ・オペラ座バレエ団の芸術監督に就任。2014/15シーズンはすでに始まっているが、「素晴らしいダンサーと歴史あるパリ・オペラ座で、いくつかのプランを形にしたいと思っています。NYCB時代にバランシンとロビンズ両巨匠の振付に学んだ経験を活かしたい。ちょうど2015/16シーズンに向けて準備し始めたところです」
一躍バレエ界のトップリーダーとなったミルピエの手によって、今バレエの新時代の幕が開けられようとしている。
取材・文:渡辺真弓
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年10月号から)
11/8(土)、11/9(日) 各15:00 彩の国さいたま芸術劇場
問:彩の国さいたま芸術劇場 0570-064-939
http://www.saf.or.jp