新国立劇場バレエ団 新制作『眠れる森の美女』

ロイヤル・バレエ スタッフによる新シーズン開幕

大原永子(左から4番目)、ウエイン・イーグリング(左から5番目)
大原永子(左から4番目)、ウエイン・イーグリング(左から5番目)

 今秋、大原永子が第4代舞踊芸術監督に就任した新国立劇場バレエ団が『眠れる森の美女』全幕を新制作し、装いも新たに2014/2015シーズンのオープニングを飾る。英国ロイヤル・バレエの元プリンシパル、ウエイン・イーグリングが新国立劇場のために振り付ける、プロローグ付き全3幕。同劇場のオリジナル・バージョンである。
 新版の見どころのひとつ、魔女カラボスについて、イーグリングは熱を込めて語った。
「女装した男性ではなく、トゥシューズを履いた女性を配役して、踊りの場面を増やしました。カラボスはリラの精と対等な存在なのです。リラの精が世界に愛と平穏をもたらすのか、それともカラボスが善を打ち負かすのか。善と悪が対立する、スリリングなドラマを繰り広げます」
 第2幕終盤、百年の眠りから覚めたオーロラ姫が王子と出会う場面では、流麗なリフトを駆使したデュエットが踊られ、2人の愛を謳い上げる。名パートナーとして鳴らしたイーグリングらしい改訂演出だ。
「プティパの原典を尊重しつつ、 個々のキャラクターがよりリアルになるようにひと工夫し、新たなデュエットや王子のソロを振り付けました。 既存の演出とは一線を画するプロダクションを目指しています」
 主演は、米沢唯と同劇場シーズン・ゲストダンサーで英国ロイヤル・バレエ プリンシパルのワディム・ムンタギロフ、小野絢子と福岡雄大、長田佳世と菅野英男、瀬島五月(貞松・浜田バレエ団)と奥村康祐のペア。さらに舞台に華を添えるのが、イーグリングと幾多のバレエを共作してきたトゥール・ヴァン・シャイクの舞台装置と衣裳。古典の格調と、英国バレエに育まれたイーグリングの感覚が融合した、21世紀仕様の『眠れる森の美女』が誕生しようとしている。
取材・文:上野房子
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年11月号から)

11/8(土)〜11/16(日) 新国立劇場オペラパレス 
問:新国立劇場ボックスオフィス03-5352-9999 
http://www.nntt.jac.go.jp