自国の傑作で彩る7年ぶりの共演
ダウスゴーが都響を指揮した、サーリアホのクラリネット協奏曲とニールセンの交響曲第3番は、じつに鮮烈だった。デンマークを代表する指揮者の明晰かつシャープな解釈。そして、オーケストラが見事なアンサンブルでそれに応え、作品の興趣を存分に引き出したのだった。終演後の客席の興奮状態も忘れられない。
あれからすでに7年。ようやくダウスゴーが都響の指揮台に帰ってくる。今回は、指揮者のお国もの、デンマークの交響曲が2曲入ったプログラムだ。
時代を先取りした作曲家としてカルト的な人気も高いランゴー。彼が20代半ばで書いた交響曲第4番「落葉」は、単一楽章ながら、気分が目まぐるしく変化する。後期ロマン派ならではの華麗さも聴きどころだ。ダウスゴーは、ランゴーの全16曲の交響曲を録音した第一人者。ぐっと引き締まった流れのなか、とりどりの音色を散りばめてくれるに違いない。
シューマンのチェロ協奏曲での共演は、持ち前の彫りの深い表現により磨きをかけた宮田大。ダウスゴーとはエルガーの協奏曲のレコーディングもあり、息の合ったコラボレーションが期待できるはずだ。
そして、デンマークでもっとも有名なシンフォニー、ニールセンの交響曲第4番「不滅」。この曲のもつ底知れぬテンションの高さを引き出すアグレッシヴな演奏が聴けるかと、公演日が今から待ち遠しい。
文:鈴木淳史
(ぶらあぼ2022年10月号より)
第960回 定期演奏会Cシリーズ
2022.10/16(日)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール
問:都響ガイド0570-056-057
https://www.tmso.or.jp