2021-22シーズンをワーグナー《パルジファル》で締めくくった東京二期会。来たる9月からの新シーズンは、指揮にアンドレア・バッティストーニを迎え、プッチーニ《蝶々夫人》を上演する。
今回は「二期会創立70周年記念公演」として、戦後日本のオペラ界に長年功績を残してきた巨匠・栗山昌良の演出によるもの。艶やかな着物、四季折々の花に彩られた舞台装置、そして、歌手の細やかな所作にいたるまで、日本の伝統に深く裏付けされている。これまでに幾度も再演が重ねられ絶大な人気を博してきたプロダクション。このオペラの正統的で、堂々かつ繊細な舞台をご覧いただけることだろう。
世界で称賛を受ける“蝶々さん”大村博美、木下美穂子のダブルキャスト
題名役には、海外でも蝶々夫人役で喝采を浴びる大村博美と木下美穂子のダブルキャスト。大村博美は、イタリアのトッレ・デル・ラーゴでのプッチーニ・フェスティバルにおいて2018、19年と連続で《蝶々夫人》プレミエ公演の題名役を務めるなど、100公演を超える第一線の舞台で蝶々夫人を演じてきた。木下美穂子も同役を海外での当たり役とし、これまでにロンドン・ロイヤル・アルバートホール、ソフィア国立歌劇場、バンクーバー・オペラなどで舞台に立っている。日本が世界に誇る蝶々さん歌いがダブルで揃うのも東京二期会ならではのキャスティングだ。
ピンカートンには若きテノールのトップを走る宮里直樹と城宏憲、シャープレスにはヴェルディ、プッチーニ作品で欠かせない今井俊輔と成田博之、スズキには山下牧子、藤井麻美が出演。創立70周年の記念に相応しい最高の顔ぶれとなった。
イタリアの至宝アンドレア・バッティストーニが指揮
指揮はイタリアの若き至宝アンドレア・バッティストーニ。音楽に対する深い洞察力と類まれなカリスマ性で、すでにミラノ・スカラ座、バイエルン州立歌劇場など欧州一流の歌劇場で活躍。日本では、ご存じのとおり、東京フィルハーモニー交響楽団首席指揮者を務め、クラシック音楽ファンから大きな支持を集めている。
東京二期会とは、初来日となった2012年《ナブッコ》で大成功を収めた後、 《リゴレット》(2015)、《イル・トロヴァトーレ》(2016)、宮本亞門演出《蝶々夫人》(2019)、そして、昨年8月のヴェルディ「レクイエム」で協働を重ねてきた。日本デビュー10周年を迎える今年は、若きマエストロのタクトから引き出されるプッチーニ・オペラの真髄に、期待されたい。
■アンドレア・バッティストーニからのコメント
私を最初に日本に招聘してくださった東京二期会にはいつも感謝をしています。2012年以来、日本の多くの才能豊かなアーティストや音楽家と協働する可能性を私に開いてくださいました。私たちの関係は、とても深い芸術的な絆へと発展しています。日本デビューとなった『ナブッコ』、2018年の『アイーダ』でのツアー、髙田賢三氏が手掛けた豪華な衣裳による『蝶々夫人』、パンデミックで困難な時期でのヴェルディ「レクイエム」など、ご一緒した多くのオペラ公演、演奏会が、私の記憶の中で大切な宝物となっています。
東京二期会にとって成功に満ちた新シーズンとなることを願っています。そして、二期会の歌手、合唱団、そして献身的なスタッフの方と協働し、力の限り最高にスリリングでワクワクするオペラを聴衆の皆様にお届けすることを楽しみにしています。
心からの感謝をこめて
【Information】
《二期会創立70周年記念公演》
東京二期会オペラ劇場《蝶々夫人》全3幕
2022.9/8(木)18:30、9/9(金)14:00、9/10(土)14:00、9/11(日)14:00 新国立劇場
指揮: アンドレア・バッティストーニ
管弦楽: 東京フィルハーモニー交響楽団
演出: 栗山昌良
蝶々夫人:大村博美(9/8, 9/10) 木下美穂子(9/9, 9/11)
スズキ:山下牧子(9/8, 9/10) 藤井麻美(9/9, 9/11)
ケート:青木エマ(9/8, 9/10) 角南有紀(9/9, 9/11)
ピンカートン: 宮里直樹(9/8, 9/10) 城 宏憲(9/9, 9/11)
シャープレス: 今井俊輔(9/8, 9/10) 成田博之(9/9, 9/11)
ゴロー :大川信之(9/8, 9/10) 升島唯博(9/9, 9/11)
ヤマドリ:畠山 茂(9/8, 9/10) 杉浦隆大(9/9, 9/11)
ボンゾ:斉木健詞(9/8, 9/10) 三戸大久(9/9, 9/11)
神官:大井哲也(9/8, 9/10) 的場正剛(9/9, 9/11)
合唱: 二期会合唱団、新国立劇場合唱団、藤原歌劇団合唱部
問:二期会チケットセンター03-3796-1831
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