マエストロ小澤ゆかりの指揮者が50年前の創立時プロを完全再現
今年創立50周年を迎える新日本フィルハーモニー交響楽団。1972年に小澤征爾、山本直純の声掛けのもと、自主運営のオーケストラとして結成されてから半世紀。それを受け、昨年より創立50周年イヤーと銘打ち、楽団ゆかりの指揮者や次代を共に歩む音楽家を迎えた演奏会を開催してきた。9月の定期演奏会は、ドイツの名匠マルクス・シュテンツが登場。2018年2月に新日本フィルと初共演を果たしたものの、20年は新型コロナの影響で来日中止、今秋4年ぶりの再共演となる。
シュテンツは、ケルン音楽大学で指揮を学び、タングルウッドでレナード・バーンスタインと小澤に師事。古典から現代まで幅広いレパートリーを誇り、ケルン・ギュルツェニヒ管の音楽監督や、オランダ放送フィルの首席指揮者等を歴任してきた。今回は、新日本フィル桂冠名誉指揮者の小澤に捧げるスペシャルなプログラム。50年前に小澤が指揮した「結成特別演奏会」(1972年9月15日)を再現する。
曲目は、ベルリオーズの序曲「ローマの謝肉祭」、ラヴェルの組曲「マ・メール・ロワ」、ベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」。なかでも「英雄交響曲」は、前回の来日でも取り上げ、ピリオド奏法を意識した解像度の高い演奏で話題を集めた。細部まで作り込み、ニュアンスに富む音楽を作り上げるシュテンツ。軽快で溌剌としたリズムのベルリオーズ、色彩感豊かなラヴェルではどのようなアプローチをみせるのか、こちらも楽しみである。
文:柴辻純子
(ぶらあぼ2022年8月号より)
第643回 定期演奏会
〈トリフォニーホール・シリーズ〉
2022.9/10(土)14:00 すみだトリフォニーホール
〈サントリーホール・シリーズ〉
9/12(月)19:00 サントリーホール
問:新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815
https://www.njp.or.jp