レ・フレール(ピアノ・デュオ)

オーケストラ・アンサンブル金沢とのスリリングな共演が再度実現!

Photo:Yuu Kamimaki
Photo:Yuu Kamimaki
 “キャトルマン・スタイル”で色鮮やかなサウンドを紡ぐ、斎藤守也と圭土による兄弟デュオ、レ・フレール。2017年2月、オーケストラ・アンサンブル金沢(以下、OEK)との共演でツアーを行い、1台4手連弾にオーケストラが加わったスケールの大きな音楽を届ける。
圭土(以下、K)「初めてオーケストラと共演したのは、結成10周年を迎えた2012年。オーケストラをイメージして書いた曲が実際に演奏されたときは、本当に感動しましたね」
守也(以下、M)「あの時は、リハーサルを聞いているだけでテンションが上がりました(笑)。今回一緒にツアーをするOEKとは、16年4月に一度共演しました。指揮の鈴木織衛さんとオーケストラが柔軟かつがっちりとサポートしてくれたので、心強かったです」
 レ・フレール最大の魅力は、二人が呼吸を合わせてその場で生み出す音楽のライヴ感。オーケストラという大所帯との共演でそれを実現する秘訣は何だろうか。
M「共演を重ねる中で、オーケストラは合わせようとしてくれているのだし、指揮台には織衛さんがいるのだから、遠慮せずに安心していろいろやったほうがいいと思うようになりました」
K「4月の演奏会では、オーケストラとワッと一体になれた感覚がありました。再共演となる今回のツアーではOEKの方々も、僕たちが本番中に何か仕掛けたら反応してくれるのではないかと(笑)。さらに良いものを届けられると確信しています」
 とくにオーケストラ版新作の「Club IKSPIARI」では、ピアノ版以上の魅力に期待してほしいという。オーケストラならではの表現や共演経験について、今二人は何を感じているのだろうか。
M「音を大きくしていく表現はピアノだと連打するしかありませんが、弦や管楽器の伸びやかな音の気持ちよさは格別です。僕は留学中に第2楽器でクラリネットを吹いていたこともあり、もともといろいろな楽器をいじるのが好きだったので、共演を機にまたピアノ以外の楽器に触れることが増え、作曲活動の刺激になりました」
K「厚みのあるアンサンブルを聴くと、もっとこういう曲が書けそうだと創作意欲をかき立てられます。ここ数年ヴァスコ・ヴァッシレフ(ヴァイオリン)とのユニットで海外のオーケストラと共演する機会も増え、演奏者としてだけでなく、作曲家としての緊張感や意志を尊重される感覚を知って、意識が変わってきています」
 16年秋には、「デビュー以来の変化を楽しめる」(M)、「今ならやらないような、勢いのある昔の演奏も収められている」(K)、メジャーデビュー10周年記念盤がリリースされた。常に前に進んでゆく二人の音が記録された、充実のベストアルバム。あわせて聴いておきたい。
取材・文:高坂はる香
(ぶらあぼ 2017年1月号から)

レ・フレール with オーケストラ・アンサンブル金沢 シンフォニックツアー2017
2/7(火)19:00 福井/ハートピア春江
2/8(水)19:00 富山県民会館
2/10(金)19:00 豊中市立文化芸術センター
2/12(日)14:00 はつかいち文化ホールさくらぴあ
問:石川県立音楽堂チケットボックス076-232-8632
http://lesfreres.jp/

CD
『レ・フレール THE BEST』
ユニバーサルミュージック
UCCY-1070
¥3000+税