ドイツ・バロック鍵盤音楽の潮流を辿る一夜

武蔵野音大から東京芸大・同大学院に学び、第5回国際古楽コンクール〈山梨〉最高位などを受賞。アムステルダム・スヴェーリンク音楽院でも研鑽を積み、グスタフ・レオンハルトら巨匠の薫陶を受けた。帰国後はリサイタル活動の一方、バッハ・コレギウム・ジャパンなどでも活躍。バッハの録音2枚も発表し、高い評価を得ている。
ステージの核は、生誕400年を迎えたフローベルガー。ブクステフーデから、ゲオルク・ベーム、そしてバッハへと至るドイツ鍵盤音楽の潮流を辿る。一般的なフレミッシュ・チェンバロに加えて、フローベルガーの「トッカータ」や「カプリッチョ」では、ミーントーン(中全音律)で複数の調性の使用を可能にする、珍しい分割鍵盤を備えたイタリアン・チェンバロを弾く。
さらに、17世紀イタリアの自由なフーガ風の鍵盤楽曲を意味する「カプリッチョ」も、“隠れたテーマ”に。フローベルガーやベームだけでなく、締め括りに弾くバッハの「パルティータ第2番」の終曲も、実は「カプリッチョ」だ。フローベルガーが師フレスコバルディから受け継いだイタリア音楽の要素が、どうドイツ・バロックに採り込まれていったのか。聴衆は自身の耳で、確かめられる仕掛けだ。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ 2016年12月号から)
12/22(木)19:00 東京オペラシティ リサイタルホール
問:アレグロミュージック03-5216-7131
http://www.allegromusic.co.jp/