クラウス・マケラ(指揮) 東京ニューシティ管弦楽団

クラシック界の未来をいち早く知る

 若手指揮者の台頭が続く中、遂に20歳の逸材が登場する! 10月の東京ニューシティ管の定期演奏会を振るクラウス・マケラ。1996年フィンランド生まれの彼は、チェリストであると同時に、12歳からシベリウス・アカデミーで指揮を学んだ。師匠は、サロネン、オラモ、サラステ、ヴァンスカ等を送り出したヨルマ・パヌラ。すでに10代で、ヘルシンキ・フィル、クオピオ響ほか同国主要楽団の多くを指揮して成功を収めたマケラは、彼らに続く(あるいは超える)逸材といえるかもしれない。
 今回は、創意溢れる発想で独自の存在感を示す東京ニューシティ管ならではの大胆な起用。しかも、ブラームスの「大学祝典序曲」で重層感や構築力、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番でスケール感や競奏の手腕、ストラヴィンスキーのバレエ音楽「妖精の口づけ」でドラマ的な表現力をうかがい知ることができる。なお「妖精の口づけ」は、チャイコフスキーの旋律を用いた作品。ロシア的な抒情美と作曲者独特のリズムや楽器法を併せて楽しめるので、ぜひ耳にしたい。
 独奏のアンドレイ・ググニン(ピアノ)も要注目だ。1987年ロシア生まれの彼は、2014年ジーナ・バッカウアー国際ピアノ・コンクールで優勝し、カーネギーホールやウィーン楽友協会など世界20ヵ国以上の著名ホールでコンサートを行っている、同国屈指の売れっ子ピアニスト。今回演目がチャイコフスキーだけに、その魅力を知る絶好の機会となる。
 2人の若き才能がいかに個性を発揮し、東京ニューシティ管といかなるケミストリーを生むのか、フレッシュな期待に充ちた公演だ。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年6月号から)

第107回 定期演奏会 10/1(土)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール
問:東京ニューシティ管弦楽団事務局03-5933-3266
http://tnco.or.jp
5/23(月)発売