右：ジョージ・ハリオノ
市民のための音楽会として愛されている川口リリアの「ニューイヤーコンサート」が今年も埼玉会館に場所を移して開催。2026年のはじまりを彩るのは、ドラマティックなロシアン・プログラムである。まずはチャイコフスキーのオペラ《エフゲニー・オネーギン》から華やかな夜会のシーンで演奏される「ポロネーズ」。きらびやかでありながら洗練された響きの楽曲が新しい年の始まりを祝う。それに続くのは同じ作曲家によるピアノ協奏曲第1番とラフマニノフのピアノ協奏曲第2番。いずれもこのジャンルを代表する名曲であり、同時にピアニストには優れた技巧とスケールの大きな表現力が求められる難曲だ。
ソリストに迎えられるのは第17回チャイコフスキーコンクール第2位受賞者として話題を呼び、2024年には来日公演を行って大好評を得た、ジョージ・ハリオノ。超絶技巧を難なく弾きこなす卓越した技術はもちろん、それを活かした表現の多彩さはあらゆるジャンルを自由自在に横断。公式YouTubeにはベートーヴェンにリストからガーシュウィン、尾崎豊まで幅広い音楽が上がっており、それぞれの楽曲の魅力を最大限に活かす演奏を聴かせてくれている。今回もチャイコフスキーとラフマニノフの協奏曲を華麗に奏で、会場を熱狂させてくれることであろう。そして指揮者は九響首席指揮者の太田弦。今もっとも注目を集める若手指揮者の一人であり、東京交響楽団を前に知的かつ色彩豊かな音楽づくりで、どのようにこのプログラムをまとめあげてくれるのか期待が膨らむ。
文：長井進之介
（ぶらあぼ2025年12月号より）
リリア休館中出張公演 ニューイヤーコンサート2026 名曲で綴る新春の贈り物
2026.1/18（日）15：00 埼玉会館
問：リリア・チケットセンター048-254-9900
https://lilia.or.jp
長井進之介 Shinnosuke Nagai
国立音楽大学大学院修士課程器楽専攻（伴奏）修了を経て、同大学院博士後期課程音楽学領域単位取得。在学中、カールスルーエ音楽大学に交換留学。アンサンブルを中心にコンサートやレコーディングを行っており、2007年度〈柴田南雄音楽評論賞〉奨励賞受賞（史上最年少）を機に音楽ライターとして活動を開始。現在、群馬大学共同教育学部音楽教育講座非常勤講師、国立音楽大学大学院伴奏助手、インターネットラジオ「OTTAVA」プレゼンターも務める。
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