
世界的ヴァイオリニスト、諏訪内晶子が芸術監督を務める「国際音楽祭NIPPON 2026」が、26年2月10日から3月3日まで横浜、東海市、名古屋、久慈、石巻の5都市で開催される。国内外の多世代にわたる優れた演奏家たちが多彩なプログラムを披露する同音楽祭。9回目となる今回の主な見どころをご紹介しよう。
まずは「サッシャ・ゲッツェル指揮 国際音楽祭NIPPONフェスティヴァル・オーケストラ」(横浜、東海市)。前回24年に諏訪内及び彼女が信頼するゲッツェルがモーツァルトのヴァイオリン協奏曲全曲で魅了した本公演には、極めて示唆に富んだプログラムが用意されている。当音楽祭の魅力の1つは諏訪内が古典と現代作品の双方で快演を聴かせてくれること。今回は対照的な2曲=生演奏が貴重なハイドンのヴァイオリン協奏曲第3番と現代の名作たるペルトの「フラトレス」を弾き分ける。もう1つのポイントはハイドンの第39番とモーツァルトの第40番の「ト短調交響曲」対決。レアな前者と超名曲の後者を続けて聴くのは稀少にして鮮烈な体験となる。もちろんコンサートマスターに白井圭を迎えたオーケストラの妙技も楽しみだし、島方瞭や島田光博(共にヴァイオリン)をはじめ、かつてのマスタークラス受講者がメンバーに加わる当音楽祭の良き特徴も実感できる。
また名物の1つが「Akiko Plays CLASSIC & MODERN with Friend〜中欧の旅」(横浜、東海市で「SELECTION」あり)。今回はハンガリーとチェコの作曲家に焦点が当てられる。「CLASSIC」では、珍編成によるドヴォルザーク「テルツェット」の実演が楽しみだし、ハンガリーにゆかりの深いシューベルトの重厚な名作「弦楽五重奏曲」で無類の充足感を味わえる。「MODERN」では、20世紀の代表格コダーイ、リゲティの作品のほか、諏訪内が奏でるチェコの現代作曲家スルンカの作品や、20世紀チェコの大御所マルティヌーのピアノ五重奏曲第2番のこれまた貴重な実演が目を引く。出演者は、ベンジャミン・シュミット(ヴァイオリン)、鈴木康浩、赤坂智子(ヴィオラ)、イェンス=ペーター・マインツ、辻本玲(チェロ)、ソン・ミンス(ピアノ)と室内楽に長けた実力者揃い。彼らのアンサンブルも当然要注目だ。
もう1つの名物が「フォーレ室内楽全曲マラソンコンサート」(横浜)。22年のブラームス、24年のシューマンに続くこの企画では、近代フランス音楽の立役者フォーレの室内楽全22曲が演奏される。独墺圏以外では最大・最重要の“室内楽作曲家”フォーレの傑作を1日で味わい尽くすなどまさに前代未聞。出演者も、上記の面々のほか、米元響子、金川真弓(ヴァイオリン)、上野通明、佐藤晴真(チェロ)、北村朋幹、三浦謙司 、阪田知樹(ピアノ)、葵トリオといった垂涎の顔ぶれが揃う。これは「一生に一度の僥倖」というほかない。
このほか、恒例の「公開マスタークラス」(横浜)や「ミュージアム・コンサート」(名古屋)、「諏訪内晶子&フレンズ in 久慈・石巻」の各公演も行われるので、ここは濃密な音楽に浸りたい。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2025年12月号より)
サッシャ・ゲッツェル指揮 国際音楽祭NIPPONフェスティヴァル・オーケストラ
2026.2/10(火)19:00 東海市芸術劇場
2/11(水・祝)17:00 横浜みなとみらいホール
室内楽プロジェクト Akiko Plays CLASSIC & MODERN with Friends~中欧の旅
2/25(水)19:00 東海市芸術劇場 ※「SELECTION」
2/26(木)19:00 横浜みなとみらいホール(小)
2/28(土)14:00 横浜みなとみらいホール
フォーレ室内楽全曲マラソンコンサート
3/1(日)[第1部]11:00 [第2部]14:00 [第3部]16:00 [第4部]19:00
横浜みなとみらいホール
問:ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212
https://www.japanarts.co.jp
※音楽祭の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。
