【CD】The Edge―始まりと地平/三上亮

 海外で研鑽を積み若くして札響のコンマスを務め、現在は広響の首席客員コンマスやソリストとして幅広く活躍中の三上亮による最新盤は、ハイフェッツ編曲〈剣の舞〉で鮮烈に幕を開ける小品集。超絶技巧ものも聴かせるが、幼い頃の子守唄だったというクライスラー作品や、『ヘンゼルとグレーテル』のBGMとして耳にしていたというチャイコフスキー:弦楽四重奏曲第1番の緩徐楽章など、想い出の旋律での温かみを湛えた演奏にも魅了される。特に恩師のリサイタルで出会い、自身の音楽人生の原点となったというヴィターリ「シャコンヌ」が絶品。ピアニストとの一体感も好ましい。
文:東端哲也
(ぶらあぼ2025年12月号より)

【information】
CD『The Edge―始まりと地平/三上亮』

ハチャトゥリアン(ハイフェッツ編):バレエ音楽「ガイーヌ」より〈剣の舞〉/クライスラー:ウィーン奇想曲、中国の太鼓/ヴィターリ(シャルリエ編):シャコンヌ/チャイコフスキー(アウアー編):弦楽四重奏曲第1番より「アンダンテ・カンタービレ」/イザイ:子供の夢 他

三上亮(ヴァイオリン)
川島基(ピアノ)

コジマ録音
ALM-7316 ¥3300(税込)